サクラ
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サクラ類 Prunus spp. |
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分類 | ||||||||||||||
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主な種 | ||||||||||||||
サクラ (桜、櫻、学名: Prunus) は、バラ科サクラ属の植物のうち、ウメ、モモ、アンズなどを除いた総称であり、一般には サクラ亜属 に属するものを指す。
目次 |
[編集] 概説
春に白色や淡紅色から濃紅色の花を咲かせ、とくに果実を食用とするほか、花や葉の塩漬けも食品などに利用される。日本人に古くから親しまれている。
園芸品種が多く、とくに江戸末期に開発されたソメイヨシノ(染井吉野)は、明治以降、全国各地に広まり、サクラの代名詞となった。自然種としてはヤマザクラ、オオシマザクラ、エドヒガンなど10種ほどが認められている。
古代では、山に咲くヤマザクラ(山桜 P. jamasakura)や、八重咲きの桜が一般的であった。有名な吉野の桜も、ヤマザクラである。
また、日本において最も馴染み深い花であることから、一般的に国花の一つとされ(法的に定められたものではない)、明治時代以降軍隊や学校の制帽や階級章に桜を象った紋章が用いられている。現在においても警察や自衛隊などの紋章に使用されている。
ヤエザクラは、サトザクラの八重咲きの品種の総称として用いられる。
3月27日はさくらの日である。(平成4年から財団法人日本さくらの会が制定した。)
[編集] 語源説
「サクラ」の名称の由来は、一説に「咲く」に複数を意味する「ら」を加えたものとされ、元来は花の密生する植物全体を指したと言われている。また他説として、春に里にやってくる稲(サ)の神が憑依する座(クラ)だからサクラであるとも考えられている。
富士の頂から、花の種をまいて花を咲かせたとされる、「コノハナノサクヤビメ(木花之開耶姫)」の「さくや」をとって「桜」になった、とも言われている。
[編集] 日本の桜
[編集] ヒカンザクラ群
日本には野生種は存在しないが、琉球諸島で野生化した物を野生種と見る向きもある。 中国の冬桜花、チベットのヒマラヤザクラなどが野生種にあたり、1月から3月にかけて緋色の花を咲かせる。
[編集] 園芸品種
- アタミハヤザキ(熱海早咲)
- イズタガアカ(伊豆多賀赤)
- オオカンザクラ(大寒桜)
- オカメ
- カワヅザクラ(河津桜)
- カンザクラ(寒桜)
- カンヒザクラ(寒緋桜・緋寒桜・元日桜・薩摩緋桜) - 釣り鐘状の花が特徴。花の色は白から濃いピンク色まで様々なものがある。中国南部から台湾にかけて分布する桜である。日本でも主に沖縄県で野生化し、沖縄で「桜」と言えばこのカンヒザクラを指す。また、沖縄や奄美でのサクラの開花予想及び開花宣言はこのカンヒザクラの開花に対して発表される。沖縄では1月から2月に開花し、また、関東より南でも植えられており、2月から3月にかけて花を咲かせる。ヒカンザクラ(緋寒桜)と呼ばれることもあるが、ヒガンザクラ(彼岸桜)と混合されやすいため、近年はカンヒザクラと呼ばれることが多い。
- ケイオウザクラ(啓翁桜・東海桜・岳南桜)
- シュゼンジカンザクラ(修善寺寒桜)
- タイリョウザクラ(大漁桜)
- ツバキカンザクラ(椿寒桜)
- ハツミヨザクラ(初御代桜)
- ミョウショウジ(明正寺)
- ヨウコウ(陽光)
- ヨコハマヒザクラ(横浜緋桜)
- リッシュンカンザクラ(立春寒桜)
- リュウキュウカンヒザクラ(琉球寒緋桜・琉球緋桜)
[編集] エドヒガン群
日本から朝鮮半島にかけて分布するエドヒガン、台湾に分布するムシャザクラ、中国に分布するP.changyangensis Ingramの三系統があり、いずれも額の下部に球状のふくらみがある。 枝垂桜は、形の面白さから多数の園芸品種が存在する。
[編集] 野生種
- エドヒガン(江戸彼岸・立彼岸・東彼岸・婆彼岸) - 春の彼岸ごろに花を咲かせる。桜の中では最も長寿な品種の一つで、「石割桜」や「神代桜」など、国の天然記念物に指定されているものも少なくない
- モチヅキザクラ(望月桜)
- ヤマモチヅキザクラ(山望月桜)
[編集] 園芸品種
- アマギヨシノ(天城吉野) - ソメイヨシノの交配実験中に生まれた品種。
- アメリカ(旧名:曙) - Prunus×yedoensis Matumura cv. Amerika - 北米に送られたソメイヨシノの実生から生まれた品種で、ソメイヨシノに比べ花が大きい。現地では『曙』と呼ばれていたが、日本に導入する際、同名の桜との混同を避けるために『アメリカ』に改名された。
- イズヨシノ(伊豆吉野) - ソメイヨシノの交配実験中に生まれた品種。
- ウジョウシダレ(雨情枝垂)
- ウスゲオオシマ(薄毛大島)
- オオクサイザクラ(オオクサエザクラ)
- オモイガワ(思川)
- カッテザクラ(勝手桜)
- カバザクラ(樺桜)
- クマガイ(熊谷)
- クラマザクラ(鞍馬桜)
- コシノヒガンザクラ(越の彼岸桜) - 富山県の天然記念物
- コヒガン(小彼岸・彼岸桜・千本彼岸)
- コマツオトメ(小松乙女)
- サイホウジザクラ(西法寺桜)
- サクヤヒメ(咲耶姫)
- シキザクラ(四季桜)
- シダレオオクサイザクラ(シダレオオクサエザクラ)
- シダレザクラ(枝垂桜・糸桜)
- シダレソメイヨシノ(枝垂染井吉野)
- ジュウガツザクラ(十月桜) - 一年の間に三月と十月の2回花を咲かす。
- ショウジョウ(猩々)
- ショウワザクラ(昭和桜)
- シラタキザクラ(白滝桜)
- シラタマ(白玉)
- ジンダイアケボノ(神代曙)
- スルガザクラ(駿河桜)
- センダイヨシノ(仙台吉野)
- ソトオリヒメ(衣通姫)
- ソメイニオイ(染井匂)
- ソメイヨシノ(染井吉野)
- タカトオコヒガン(高遠小彼岸) - 長野県の天然記念物
- タキノザクラ(滝野桜)
- トモエザクラ(巴桜)
- ハヤザキオオシマ(早咲大島) - ソメイヨシノの交配実験中に生まれた品種。
- フナバラヨシノ(船原吉野)
- ベニシダレ(紅枝垂)
- ベニツルザクラ(紅鶴桜)
- ホザキヒガンヤエザクラ(穂咲彼岸八重桜)
- マツマエウスガサネソメイ(松前薄重染井)
- ミカドヨシノ(御帝吉野) - ソメイヨシノの交配実験中に生まれた品種。
- ミシマザクラ(三島桜)
- ミズタマザクラ(水玉桜)
- ミスミオオヒラザクラ(三隅大平桜)
- ミドリヨシノ(緑吉野)
- モニワザクラ(茂庭桜)
- モリオカシダレ(盛岡枝垂)
- ヤエベニシダレ(八重紅枝垂)
- ヤエベニヒガン(八重紅彼岸)
[編集] ヤマザクラ群
日本列島および朝鮮半島、樺太(サハリン)南部に分布する。葉が花と同時に開く。
[編集] 野生種
- アサギリザクラ(朝霧桜・毛山桜)
- ウスガサネオオシマ(薄重大島)
- オオシマザクラ(大島桜) - カスミザクラの島嶼種もしくはヤマザクラの海岸型。
- オヤマザクラ(大山桜・蝦夷山桜・紅山桜)
- カスミザクラ(霞桜)
- カタオカザクラ(片丘桜) - カスミザクラの幼形開花型。ヤマザクラに戻ってしまうことが多い。
- キビザクラ(吉備桜)
- ケエゾヤマザクラ(毛蝦夷山桜)
- シオカゼザクラ(潮風桜) - オオシマザクラの一型。
- ツクシザクラ(筑紫桜・筑紫山桜)
- ハツユキザクラ(初雪桜)
- ヤマザクラ Cerasus jamasakura (Siebold ex Koidz.) (山桜)
[編集] 園芸品種
- アオバ(青葉)
- アカツキザクラ(暁桜・霞蝦夷山桜)
- アカミオオシマ(赤実大島)
- イズザクラ(伊豆桜)
- イチハラトラノオ(市原虎の尾)
- イボザクラ(伊保桜・井保桜)
- イヨウスズミ(伊予薄墨)
- ウンリュウオオシマ(雲竜大島)
- オウシュウサトザクラ(奥州里桜)
- カンザキオオシマ(寒咲大島)
- ギジョウジギジョザクラ(祇王寺祇女桜)
- キヌガサ(衣笠)
- キリフリザクラ
- クチナシザクラ(梔子桜)
- ケタノシロキクザクラ(気多の白菊桜)
- ケンロクエンクマガイ(兼六園熊谷・兼六熊谷)
- コウホクニオイ(江北匂)
- ゴザノマニオイ(御座の間匂)
- コトヒラ(琴平)
- コノハナザクラ(木の花桜)
- コンゴウザクラ(金剛桜・源氏車・小督) - 国の天然記念物。
- サノザクラ(佐野桜)
- シダレオオヤマザクラ(枝垂大山桜)
- ジョウニオイ(上匂)
- シンスミゾメ(新墨染)
- スルガダイニオイ(駿河台匂)
- ゼンショウジキクザクラ(善正寺菊桜)
- センダイヤ(仙台屋)
- ソウドウザクラ(宗堂桜) - P.jamasakura cv.,P.lannesiana cv. Soudou-zakuraの2種がある。
- ダイリノサクラ(内裏の桜)
- タカネオオヤマザクラ(高嶺大山桜)
- タキニオイ(滝匂)
- ナラノヤエザクラ(奈良の八重桜・奈良八重桜)
- ニドザクラ(二度桜)
- ノナカノサクラ(野中の桜)
- ヒウチダニキクザクラ(火打谷菊桜)
- ヒヨシザクラ(日吉桜)
- ベニタマニシキ(紅玉錦・松前紅玉錦)
- ベニナンデン(紅南殿)
- ホソカワニオイ(細川匂)
- マツマエウスベニココノエ(松前薄紅九重)
- ミナカミ(水上)
- ミョウジョウ(明星・松前明星)
- ヤエノオオシマザクラ(八重の大島桜)
- ヤエノカスミザクラ(八重の霞桜)
- ヤエベニオオシマ(八重紅大島)
- ヤツブサザクラ(八房桜)
- ヤマゴシムラサキ(山越紫)
- ヨウロウザクラ(養老桜)
- ライコウジキクザクラ(来迎寺菊桜)
- ワカキノサクラ(稚木の桜) - ヤマザクラの幼形開花型。ヤマザクラに戻ってしまうことが多い。
[編集] サトザクラ群
オオシマザクラ、ヤマザクラ等もとに作出したと見られる一連の品種。
- アサヒヤマ(旭山・朝日山)
- アズマニシキ(東錦)
- アマノガワ(天の川)
- アマヤドリ(雨宿)
- アヤニシキ(綾錦・松前綾錦)
- アラカワニオイ(荒川匂)
- アラシヤマ(嵐山)
- アラタマ(新珠・松前新珠)
- アリアケ(有明)
- イチヨウ(一葉)
- イツカヤマ(早晩山)
- イトククリ(糸括)
- イマジュクザクラ(今宿桜) - シラユキと同種と見られる。
- イモセ(妹背)
- イヨクマガイ(伊予熊谷)
- イワイザクラ(祝桜)
- ウコン(鬱金) - 淡黄色の花を咲かせる。
- ウズザクラ(渦桜)
- ウスズミ(薄墨)
- エイゲンジ(永源寺・永源寺桜)
- エド(江戸・江戸桜)
- オオサワザクラ(大沢桜)
- オオシバヤマ(大芝山)
- オオタザクラ(太田桜)
- オオヂョウチン(大提灯)
- オオムラザクラ(大村桜)
- オキナザクラ(翁桜) - シラユキと同種と見られる。
- オムロアリアケ(御室有明)
- カリギヌ(狩衣)
- カンザン(関山・セキヤマ)
- キクザクラ(菊桜)
- キクシダレ(菊枝垂)
- キナシチゴザクラ(鬼無稚児桜)
- キブネウズ(貴船雲珠)
- ギョイコウ(御衣黄) - 花は中輪で淡黄緑色。花弁は10枚前後。中心部に緑色でのち紅変する条線がある。
- キリン(麒麟)
- クシマザクラ(玖島桜)
- クルマドメ(車駐)
- ケンロクエンキクザクラ(兼六園菊桜)
- コウエンジシロヤエザクラ(光善寺白八重桜)
- コウカ(紅華)
- コウダイジ(高台寺)
- コガネイウスベニザクラ(小金井薄紅桜)
- コケシミズ(苔清水)
- ココノエ(九重)
- コシオヤマ(小汐山)
- ゴショザクラ(五所桜)
- ゴショミクルマガエシ(御所御車返し)
- ゴテンニオイ(御殿匂)
- コマツナギ(駒繋)
- コンゴウザン(金剛山)
- シオガマ(塩釜)
- シズカ(静香・松前静香)
- シバヤマ(芝山)
- シブヤコンノウザクラ(渋谷金王桜)
- ショウゲツ(松月)
- ショウナンデン(小南殿)
- シラユキ(白雪)
- シロタエ(白妙)
- スイショウ(水晶)
- スザク(朱雀)
- センダイシダレ(仙台枝垂)
- センリコウ(千里香)
- タイハク(太白)
- ダイミン(大明)
- タオヤメ(手弱女)
- タカサゴ(高砂・南殿・奈天・武者桜)
- タグイアラシ(類嵐)
- チハラザクラ(千原桜)
- チョウシュウヒザクラ(長州緋桜)
- ツクバネ(突羽根・平野突羽根)
- テマリ(手毬)
- トウキョウザクラ(東京桜)
- トラノオ(虎の尾)
- ナジマザクラ(名島桜)
- ナデシコザクラ(撫子桜)
- ニソンインフゲンゾウ(二尊院普賢象)
- バイゴジジュズカケザクラ(梅護寺数珠掛桜)
- ハクカサン(白華山)
- ハクサンオオデマリ(白山大手毬)
- ハクサンハタザクラ(白山旗桜) - Prunus lannesiana cv. HatazakuraまたはPrunus lannesiana cv. Vexillfera
- ハナガサ(花笠・松前花笠)
- バンリコウ(万里香)
- ヒグラシ(日暮)
- ヒヨドリザクラ(鵯桜)
- ヒラノネザメ(平野寝覚)
- フクザクラ(福桜)
- フクロクジュ(福禄寿)
- フゲンゾウ(普賢象・普賢堂)
- フサザクラ(房桜)
- フダンザクラ(不断桜)
- ベニガサ(紅笠・松前紅笠)
- ベニシグレ(紅時雨・松前紅時雨)
- ベニユタカ(紅豊・松前紅豊)
- ベンドノ(弁殿)
- ホウリンジ(法輪寺)
- ホクホウ(北鵬)
- ホタテ(帆立)
- ボタン(牡丹)
- マザクラ(真桜・白花真桜)
- マスヤマ(増山)
- マツマエ(松前)
- マツマエアイゼン(松前愛染)
- マツマエオオシオ(松前大潮)
- マツマエカザンイン(松前花山院)
- マツマエハナゾメイ(松前花染衣)
- マツマエハヤザキ(松前早咲・血脈桜)
- マツマエフウキ(松前富貴)
- マツマエベニヒゴロモ(松前紅緋衣)
- マツマエヤエコトブキ(松前八重寿)
- ミクルマガエシ(御車返し・御車還し・桐ケ谷・キリガヤツ)
- ミッカビザクラ(三ヶ日桜)
- ムラサキザクラ(紫桜)
- メイゲツ(明月)
- ヤエアケボノ(八重曙)
- ヤエニオイ(八重匂)
- ヤエベニトラノオ(八重紅虎の尾)
- ヤエムラサキザクラ(八重紫桜)
- ヤダケムラサキ(矢岳紫)
- ヨウキヒ(楊貴妃)
- ランラン(蘭蘭) - 上野動物園のパンダに因んだ名前
- リュウウンインベニヤエ(龍雲院紅八重)
- ワシノオ(鷲の尾)
[編集] マメザクラ群
マメザクラとタカネザクラに大きく分けられる。低木もしくは小高木で、実は黒く結実する。欠刻状重鋸葉が特徴。
[編集] マメザクラの野生種
- アメダマザクラ(飴玉桜)
- オオバナマメザクラ(大花豆桜)
- キンキマメザクラ(近畿豆桜・山彼岸)
- ショウドウザクラ(勝道桜)
- ブコウマメザクラ(武甲豆桜) - 旧名ブコウタカネザクラ。主に秩父地方の石灰岩地に産する。
- フジカスミザクラ(富士霞桜・印野桜)
- ボンボリザクラ(雪洞桜)
- マメザクラ(豆桜・富士桜)
- ミドリキンキマメザクラ(緑近畿豆桜) - キンキマメザクラの赤色色素が欠損した種。
- ヤブザクラ(薮桜)
[編集] マメザクラの園芸品種
- ミドリザクラ(緑桜・緑萼桜)
- ミドノヤエ(水土野八重)
- アカネヤエ(茜八重)
- コジョウノマイ(湖上の舞)
- クマガイザクラ(熊谷桜・八重咲山彼岸) - キンキマメザクラの八重。
- オシドリザクラ(鴛鴦桜)
- フタカミザクラ(二上桜) - 1970年に二上山で発見された品種。
- ウミネコ(海猫) - 主にヨーロッパで栽培されている品種。
- ショウドウヒガン(勝道彼岸)
- ショウフクジザクラ(正福寺桜・正福寺枝垂・湯村枝垂・湯村)
- マナヅルザクラ(真鶴桜)
- フユザクラ(冬桜・小葉桜) - 11月から12月の終わりごろまで花を咲かせることで知られる。群馬県藤岡市の桜山はフユザクラの名所として名高い。
[編集] タカネザクラの野生種
- イシヅチザクラ(石鎚桜)
- タカネザクラ(高嶺桜・峰桜)
- チシマザクラ(千島桜)
[編集] チョウジザクラ群
低木もしくは高低木で、多雪地帯でよく見られる。押し葉を作ると芽の部分が黄変するという特徴がある。花が小さいことから、園芸品種としてはあまり好まれない。
[編集] 野生種
- オオミネザクラ(大峰桜)
- オクチョウジザクラ(奥丁字桜)
- チチブザクラ(秩父桜)
- チョウジサクラ(丁字桜・メジロザクラ)
- ニッコウザクラ(日光桜)
- ハナイシザクラ(花石桜)
- ミヤマチョウジザクラ(深山丁字桜) - チョウジザクラの深山型。中央アルプスから南アルプスにかけて分布する。
[編集] 園芸品種
- シキザキチョウジザクラ(四季咲丁字桜)
- ヒナギクザクラ(雛菊桜) - 菊咲き。チョウジザクラの園芸品種は、ヒナギクザクラを親に持っていることが多い。
[編集] シナミザクラ群
中国南西部に7種が分布している。
- コブクザクラ(子福桜)
- シナミザクラ(支那実桜) - 中国での呼び名は「桜桃」。実の色は赤や黄色、実の形は球形や卵形など多岐に渡り、様々な品種が存在すると思われるが、まとめてシナミザクラとして扱われている。実を食べるほか、枝・葉・樹皮などを漢方薬として用いる。
- タイザンフクン(泰山府君)
- トウカイザクラ(東海桜)
- ホウキザクラ(箒桜)
[編集] ミヤマザクラ群
中国南西部を中心に5種と、日本に1種分布しており、日本産のものは中国産のものとは別種と考えられている。低木、小高木または高木で、若木は有毛の物が多い。
- ミヤマザクラ(深山桜) - 日本海を取り囲むように分布している。
- ヤエミヤマザクラ(八重深山桜)
[編集] その他
サクラ属に含まれるイヌザクラ・ウワミズザクラなどもサクラの名を持つが、花は小さく、穂状に着くので見かけは大きく異なる。
[編集] サクラ と サクランボ
観賞用の桜にも赤い実をつけるものがあるが、これは一般には食用とはされない。俗に「サクランボ」と呼ばれ、果実を食用とするものは、西洋系の品種であるセイヨウミザクラ(西洋実桜)で、これはしばしば「桜桃」(おうとう)とも呼ばれるが、本来は、「桜桃」とはセイヨウミザクラとは別種のシナミザクラ(中国実桜、支那実桜)を指す。
[編集] 特徴
特にソメイヨシノで顕著であるが、葉が出そろう前に花が咲きそろう。この「何もないところに花が咲く」という状態に、古来生命力の強さを感じたものと思われる。開花期間は特に花見に使われる「ソメイヨシノ」で短く、満開から一週間程度で花が散る。小学校などの校庭では、ソメイヨシノに比べて開花期間が長い八重桜を混植することが多い。花が散って葉が混ざった状態から初夏過ぎまでを葉桜と呼ぶ。
[編集] 春の象徴
桜は、春を象徴する花として、日本人にはなじみが深く、日本で最も有名な花でもある。風流事を称して「花鳥風月」というが、日本の古典において、単に「花」といえばサクラのことを指す。
日本最古の史書である『古事記』『日本書紀』にも桜に関する記述があり、日本最古の歌集である『万葉集』にも桜を詠んだ歌がある。その後の和歌にも桜を詠んだものは多い。平安時代の歌人・西行法師が、月と花(サクラ)を愛したことは有名である。西行法師が詠んだ歌の中でも、次の歌は有名である。
- 願はくは花の下にて春死なん そのきさらぎの望月のころ
西行法師は、この歌に詠んだとおりの状況の下、入寂したという伝説がある。
また、桜は、俳句の世界でも、古くから春の季語として用いられてきた。江戸時代の俳人・松尾芭蕉は、1688年(貞享5年)春、かつて奉公した頃のことなどを思って次の句を詠んだ。
- さまざまの 事おもひ出す 桜哉
この句は、2005年(平成17年)4月、新宿御苑で催された総理主催の「桜を見る会」において、小泉純一郎首相の挨拶の中に引かれた。
例年、気象庁は、「さくらの開花予想日」と、開花予想日を線で結んだ図を発表して春の到来を知らせる(この図は一般に「桜前線」と呼ばれる)。さくらの開花予想日は、南西諸島や北海道の大部分を除いてソメイヨシノの開花日である。各地で、特定の桜を標準木として定めている。この標準木を用いて、冬期の気温経過や春期の気温予想等を考慮した各種計算を経て、開花予想日が決定されている。標準木のつぼみが、5~6輪ほころびると開花したことが発表される(これをマスコミでは「開花宣言」と呼んでいる)。東京都のさくらの標準木は、靖国神社境内にある特定の桜である。予想の慎重を期すため、その桜がどれであるかは、公開されていない。近年では、さくらの開花については特にマスコミの注目を集める傾向にあり、開花の時期になると、職員の観察を複数のマスコミが取材に訪れる様子がしばしば見られる。
[編集] 関連文化
- 音楽
- 『雪月花』 箏曲 - 三橋検校作曲
- 『桜尽し』 地歌(箏曲) - 佐山検校作曲(桜の品種名を多数詠み込んだ地歌曲)
- 『西行桜』 地歌(箏曲) - 菊崎検校作曲(能「西行桜」に取材した曲。各地の桜の名所をつづったもの)
- 『長等の春』 地歌(箏曲) - 菊岡検校作曲、八重崎検校箏手付(琵琶湖のほとり長等山の桜の景色を描写した曲)
- 『桜川』 地歌(箏曲) 光崎検校作曲(桜の花びらが川面に浮かぶ美しい光景をあらわした曲)
- 『花の縁』 地歌(箏曲) 吉沢検校作曲(安政二年、松坂屋当主の結婚祝いに作曲された華やかな曲)
- 『春の曲』 箏曲 - 吉沢検校作曲(古今和歌集より春の歌六首を選び作曲したもの。うち桜の歌二首)
- 『山桜』 箏曲 - 吉沢検校作曲(新古今和歌集より山桜の歌二首を選び作曲したもの)
- 『新雪月花』 箏曲 - 吉沢検校作曲(新古今和歌集より、雪、月、花の歌一種ずつを選び作曲したもの)
- 『稚児桜』 箏曲 - 菊武検校作曲
- 『さくら変奏曲』- 宮城道雄編曲(「さくらさくら」を箏二部および十七弦の三重奏曲による変奏曲にしたもの)
- 『花紅葉』 箏曲 - 宮城道雄作曲
- 『桜狩』 山田流箏曲 - 山田検校作曲
- 『花の雲』 山田流箏曲 - 山勢検校作曲
- 『桜見よとて』 端唄・小唄
- 『葉桜』 小唄
- 『桜狩』 薩摩琵琶
- 『花』(滝廉太郎)
- 『さくらさくら』(日本古謡)
その他、サクラ (曖昧さ回避)も参照。
[編集] 用途
- 植栽 - 街路樹、公園木、庭木
- 材木 - 小物入れや茶筒などの細工物(樺細工)や版木に利用される。
- 食用 - 花の塩漬けは、お茶または湯に入れて茶碗の中で花びらが開くことから、祝い事に使われる。婚礼や見合いなどの席では「お茶を濁す」ことを嫌い、お茶を用いずに桜湯を用いることが多い。桜餅は、塩漬けの葉で包む。
- 観賞用 - 他の花のなる植物全般に対して、桜のみを特に区別して「観桜」と呼ぶ。
- 紋章 - 小中学校などの校章をはじめ、警察、自衛隊などの紋章に多く用いられている。
- 花見 - 春に日本では、桜の咲く木の下に人々が集まって、宴が開かれる。花見や宴会の場所として広く知れ渡っているところを桜の名所という。花見の習慣とともに、桜の名所も日本全国各地にある。
- 生薬 - 樹皮は桜皮(おうひ)という生薬で、鎮咳、去痰作用がある。
東京都・目黒川 |
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京都市・円山公園の枝垂桜 |
京都市・桜咲く清水寺 |
京都市・鴨川の桜 |
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京都市・京都御苑の枝垂桜 |
比叡山と桜 |
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姫路城と桜 |
広島県・しだれ桜 |
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[編集] 派生した語義・隠語
- サクラエビ、サクラマスなど、体色の赤いものに使われ、淡い紅色を「桜色(さくらいろ)」という。
- 電報などの文面で、桜の花は「合格」の意味である。「サクラサク」は合格を、「サクラチル」は不合格の意味に使われた。
- うばざくら(姥桜、乳母桜)は、開花時に葉がないことから歯がないを暗喩した桜の通称。または桜には見ごろがあることから、年配でありながら艶めかしい女性を指す古語。春の季語。
- 「花は桜木(さくらぎ)、人は武士」:武士の理想としての潔い生き様を、ぱっと咲いてぱっと散るサクラにたとえた言葉。
- 和文通話表では、「さ」を送る際に「桜のサ」という。
- 英語でサクラを意味する“Cherry”は陽気さ・純潔・量産の象徴であるが、俗に「処女膜」という意味を持つ。「処女」「童貞」の隠語としても用いられる。
- その他、桜にちなんだ言葉については、サクラ (曖昧さ回避)を参照。
[編集] 桜という地名がある自治体
桜町・桜井・桜ヶ丘etc.は多数のため割愛。
[編集] 関連項目
- 桜前線 -桜の開花予想など
- 葉桜
- サクラの画像一覧
- サクラ属
- サクランボ
- 日本さくら名所100選
- 日本三大桜(根尾谷の淡墨桜(岐阜県本巣市)、実相寺の神代桜(山梨県北杜市)、三春の滝桜(福島県田村郡三春町))
- 石割桜(岩手県盛岡市)
- 荘川桜(岐阜県高山市) - 不可能と言われたサクラの移植に成功した例。
- セレッソ大阪
- 飛騨・美濃さくら三十三選
- 福地桜痴
- 遠山の金さん
- 桜田門
- 桜駅(愛知県)、桜駅(三重県)。
- 農学/樹医(樹木医)/笹部新太郎
- チャンネル桜
- 花見
- 桜会
- 桜花賞 - JRA等で桜が咲く時期に開催される競走名
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