エクトプラズム
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エクトプラズム(Ectoplasm)とは、心霊主義で用いられる、霊能者などが、「霊の姿を物質化、視覚化させたりする際に関与するとされる半物質、または、ある種のエネルギー状態のもの」を指す。(注;ここで定義されている「半物質」とは、現実の物質と、霊的存在の構成要素の中間というニュアンスに近く、物理学のカテゴリーの用語とは、関係ない。また、「エネルギー」も、科学的には解明されていない、未知のものとされている。)
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これが体外に出る場合、通常は煙のように希薄で、霊能力がないと見えない場合が多い。逆に高密度で視覚化する際には、白い、または半透明のスライム状の半物質で、「霊能者の身体、特に口や鼻から出て、それをそこにいる霊が利用し物質化したり、様々な現象を起こす」と説明されている。
つまり、死を迎えた者の肉体から、霊体、あるいは、霊魂が抜けた以降には、その死者はこの世に干渉したり、物質に作用を及ぼしたりすることが不可能となる。そのため、そこに居合わせた霊媒体質の生者のエクトプラズムを利用し、時には、ポルターガイスト現象のように、物体を手を触れずに動かしたり、ラップ現象として、誰もいない所から音を鳴らしたりする。また、時には、それを変化させることによって、視覚化したり、物質化したりするといわれている。
また、こういったケースでの見解では、「エクトプラズム」は、「唾液や爪や髪の毛に似た成分で、万人が有しているが、一部の霊能力を有した者だけが、対外に出すことが可能」ともされている。
また、あるケースでは、それは、発光流動体であるとされる。ある種の臭気をおびているという、報告もある。
霊能力を持つ者のうち、意識的にエクトプラズムを対外に出すことが可能なケースでは、その放出の最中に、強い光を当てたり、手を触れたりすると、エクトプラズムを出している本人の肉体に強烈なダメージを与えるともされている。そのために、かつての心霊実験中には、会場を暗い状態に保ってきたという理由付けがなされてきて、懐疑的な立場の者に対し、トリックや奇術など、さらなる疑いを持たせる結果ともなっている。
また、これを気功などと関係付ける研究者もいるが、エクトプラズムの実在は科学的に検証されていないため、詳細は不明である。
現に、エクトプラズムが撮影されているとされる写真や映像も、一部残ってはいるが、「突発的な事故などで、その被害者が、目に見える形状で、エクトプラズムを対外に放出しかけたまま、医療機関に運ばれた」とされる事例は、未だかつてない。また、近年の霊能力者の中にも、「エクトプラズムを出すことが可能」という者も、公に公表したケースはほとんどなく、DNA鑑定などを受けるなどといった申し入れもほとんどないため、「科学的」「医学的」には実証できず、科学的検証の立場からは、存在はほぼ否定されているのに等しい。
また、「半物質」とされながらも、その組成が「唾液や頭髪に近い」といったように、「人体組成に近い蛋白質や、時には酵素も含まれている、とされるケースも報告されていながら、煙や霧状になったり、透明化したりする」という、科学的説明付けが困難でもある。「半物質」であるため、あるときには「物質化」し、その状況や密度によっては、「透明化、もしくは、霧や煙」状になるという、出す側には非常に都合のよい、また、真に証明しようとする者には、とても扱いづらい「半物質」である。
心霊主義による心霊現象研究がはじまった際には、瀕死状態の者が絶命する瞬間の体重の変化を計測する実験もいくつか行われ、その死の直後に体外に出る糞尿などの排泄物、他、一部嘔吐物、体内ガスや肺や胃などからの空気、汗などを除いた、概ね平均で、15g前後から40数gを下回る程度、原因不明の体重減少が起こり、そのうち、少なくとも80~90%程度が魂、つまり、霊体と幽体とが結びついたものという結果が出された。その霊体と肉体とを結び付けているのが「幽体」で、その正体がこの「エクトプラズム」という説と、さらに、「幽体と肉体とを結び付けているもの」が、それという説などが出た。
現代医学では測定の際のバイアスや誤差の可能性が高いものと推測される。