エマグラム
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エマグラム (Emagram)とは、横軸に気温を通常目盛で、縦軸に気圧を対数目盛でとったグラフ上に、ある地点の上空の気圧と気温および露点の関係をプロットしたものである。 ある地点の上空における大気の安定度を評価するために用いられる。
エマグラムのグラフ用紙には、乾燥断熱線(かんそうだんねつせん)、湿潤断熱線(しつじゅんだんねつせん)、等混合比線(とうこんごうひせん)の3種類の線が引かれている。 乾燥断熱線は水蒸気で飽和していない空気を断熱的に高度を上昇または下降させたときにその空気の気温と気圧がどのように変化するかを表している。 湿潤断熱線は水蒸気で飽和した空気を断熱的に高度を上昇または下降させたときにその空気の気温と気圧がどのように変化するかを表している。 等混合比線は乾燥空気1kgあたりの飽和水蒸気量のグラム数が一定となる気圧と気温の関係を表している。
ある地点のある高度にある空気を強制的に上昇させることを考える。 するとエマグラム上ではこの空気の気温は乾燥断熱線に沿って移動する。一方、露点は等混合比線に沿って移動する。 乾燥断熱線の傾きの方が等混合比線の傾きより大きいので、ある気圧で気温と露点が一致する。 すなわち空気が水蒸気で飽和して雲が発生する。 この点は持ち上げ凝結高度(もちあげぎょうけつこうど、LCL:Lifting Condensation Level)と呼ばれ、観測される雲底の高度とほぼ一致する。 さらに空気を強制的に上昇させると、水蒸気で飽和しているためこの空気の気温は湿潤断熱線に沿って移動する。
もし強制的に上昇させている空気の気温がある高度で実際に観測されている気温より高くなる場合、その空気は周囲の空気よりも軽くなり強制的に上昇させなくても自力で上昇できるようになる。 この点は自由対流高度(じゆうたいりゅうこうど、LFC:Level of Free Convection)と呼ばれる。自由対流高度が存在する場合、積乱雲のような対流雲が発達する。
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