エレクトロン (ISS)
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エレクトロン(Elektron)は、国際宇宙ステーション (ISS) で使われているロシア製の酸素発生装置である。エレクトロンは電気分解で酸素を生成する。この製法では、ステーション内で他から回収した水分子を電気分解して酸素と水素に分離する。酸素は船室内に放出され、水素は船外に廃棄される。国際宇宙ステーションの3基のエレクトロン酸素発生装置は不具合が起こりがちで、酸素ボンベや固体燃料酸素発生装置(Solid Fuel Oxygen Generation : SFOG)キャニスターなどの予備装置を使わなければならなくなることがある。各キャニスターは、1人が1日に必要な酸素を供給できる。ロシアのエレクトロン酸素システムを補って、最終的には6人の乗組員を支えるために、NASAはSTS-121のディスカバリーで同様のアメリカ製のシステムを届けた。これは2007年から運用が開始されることになっている[1]。
[編集] エレクトロンの故障
- 2006年9月18日 : 調子の悪いエレクトロン・ユニットから発生した煙により、NASAのフライトエンジニアが「宇宙船緊急事態」を宣言。焦げ臭いにおいから、別のエレクトロンの火災が疑われたが、そのユニットは「非常に熱い」だけであった。無臭で腐食性がある水酸化カリウムが漏れ出し、ISSクルーはやむを得ず手袋とフェイス・マスクを装着する。ゴム製の密封シールが過熱したために、においが発生したものと推測されている。事件が起きたのは、スペースシャトル・アトランティスが分離した直後、補給ミッション(宇宙旅行者のアニューシャ・アンサリが搭乗)が到着する直前である[2]。2006年10月のプログレス補給船で新しい弁とケーブルが届けられ、2006年11月にようやくエレクトロンは復旧した[3]。
- 2005年1月1日 : エレクトロン・ユニットが故障し、直前に到着したプログレス補給船の酸素供給を利用する[4]。
- 2004年9月8日 : エレクトロン・ユニットが、原因不明で停止。修理に2週間を要してユニットを再起動したが、すぐにまた停止してしまう。結局ユニットで発生したガスの泡が原因で、プログレス補給船が10月に到着するまで機能しないままであった[5]。
[編集] 出典
- ^ http://www.nasa.gov/home/hqnews/2007/jan/HQ_SS0701_station_status.html International Space Station Status Report: SS07-01
- ^ http://www.spaceflightnow.com/station/exp13/060918elektron.html Spaceflight Now: Oxygen generator problem triggers station alarm, September 18, 2006
- ^ http://www.nasa.gov/home/hqnews/2006/nov/HQ_SS06048_station_status.html International Space Station Status Report #48, November 3, 2006
- ^ http://www.space.com/missionlaunches/exp10_elektron_050104.html Space.com: Repaired Oxygen Generator Fails Again Aboard ISS, 4 January 2005
- ^ http://www.wired.com/news/space/0,2697,65026,00.html Wired News: Space O2 Generator Fails Again, Sep, 20, 2004
[編集] 外部リンク
- JamesOberg.com -- エレクトロンの概要 (英語)
- SM Life Support Book (PDF) -- SpaceRef.com ISS docs より (英語)
- エレクトロン(酸素発生装置)