オイゲン・ヘリゲル

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オイゲン・ヘリゲル（Eugen Herrigel、1884年 3月20日-1955年 4月18日）は、ドイツ人の哲学者。『弓と禅』（稲富栄次郎訳。また藤原美子訳『無我と無私』）により、海外では日本文化の紹介者として知られている。大正13年から昭和4年にかけて哲学を教えるべく来日、東北帝国大学の講師だった。自ら、弓術の大射道教を創始した阿波研造を師として弓の修行に勤しみ、その体験をドイツに帰国後、講演で語ったものが前出のものである。『日本の弓術』（岩波文庫）もある。ドイツに帰国後、ナチス政権下で大学人として成功（『禅という名の日本丸』（山田奨治、弘文堂））、晩年は苦難の日々を過ごした。その中で彼を精神的に支えたのは、『葉隠』だったという。ドイツに帰国後はエアランゲン大学の教授を勤めていた。

哲学者としては、ハインリヒ・リュッケルトの弟子で、エーミール・ラスクと同門になる。彼の全集は、ラスクが編纂し、全3巻で刊行された。

ヘリゲルは日本文化の根源に仏教や禅の精神性を見出したとしている。弓術の弓はわたしが射るのではなく自我を超えた「それ」が射るというが、これは、日本語でよい射を「それです」とほめるのをドイツ語エスで表現したのを誤って邦訳したものである。またヘリゲルは、ほぼ6年間阿波について弓を学んだとするが、実際は3年間であった。ヘリゲルは来日前から神秘主義に傾倒し、来日後なんでも禅に結びつける傾向があった。

ヘリゲルの日本人論、日本文化論は、実態とは異なるものの、日本人にとっては理想化された、快いものであった。