カウボーイ
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仕事(Cattle drive)中のカウボーイ。 コロラド州
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カウボーイ(cowboy)は、北アメリカ大陸やオーストラリアなどの牧場で見られる畜産業に従事する牧場労働者のこと。牧童。 また同種の職業に従事する女性をカウガールと呼ぶ。メキシコや南米などのスペイン語圏における“vaquero(バケーロ)”、それを英語風にした“buckaroo(バッカルー)”とほぼ同じ意味である。
[編集] 概要
元々“カウボーイ”と言う単語は“牛泥棒”を意味したとも言われ、牛飼に対する単語は、スペイン語の“vaquero”が使われていた。 しかし、19世紀後半に入ると、メキシコやテキサスなどを中心に大陸南部から、西部、中西部にかけての原野で野生化していた“牛を駆り集め(round-up)”、それを市場である東部やゴールドラッシュに沸く西部に届けるため、大陸横断鉄道の中継地である中西部や北部の町へ、“馬と幌馬車を連ね何日もかけて移送する業務(Long Cattle Drive)”に従事していた労働者を指す言葉に変化していった。 よって当時は牧場主や牧童、牛飼をカウボーイと呼ぶことは無かった。
現在は牛の世話をする牧童という意味で一般化している。
カウボーイには、巧みな馬術と洗練された精神、いわゆるホースマンシップ(horsemanship)、更に卓越したロープさばき(ローピング・テクニック)が必要とされるが、最近は牧畜においても機械化や自動化が進み、それらが軽視され始めている傾向もある。
ロデオとは、それらカウボーイのテクニックをスポーツ競技として独立させたもので、後にプロ化され、アメリカの人気スポーツの一つに数えられるまで成長している。
ちなみに、職業に関係なく踵の高いブーツ(カウボーイブーツ)を履きカウボーイハットを被った格好をしている者、などまでもがカウボーイと呼ばれることも多い。 日本ではカウボーイハット全般を“テンガロンハット”と呼ぶが、実はテンガロンハットはカウボーイハットの一種でしかなく、しかもかなり珍しい種類なので、一般的なカウボーイハットのことをテンガロンハットと呼ぶのは間違いである。
元々、カウボーイは単なる労働者でしかなかったが、フロンティアの完全な終焉を迎えた20世紀に入ると、西部劇や小説などにおいて、ノスタルジックなロマンをかきたてる対象として美化され始め、アメリカの象徴となる。 更にそのワイルドで勇敢なイメージは、アメリカ男性の象徴とされ、それが転じたスラングとして、“粋な伊達男・色男”、“無茶な行動をする男”、“やんちゃ坊主”、“危険な運転をするドライバー”などをカウボーイと呼ぶ場合もある。
日本や諸外国の一部の評論家やマスコミは、テキサス州出身で広大な牧場を所有し、休暇中はカウボーイ・ファッションを好んで着ている米国のジョージ・W・ブッシュ大統領の、“単純で田舎臭い”性格や“好戦的な”気質を揶揄したり馬鹿にする目的で、「ブッシュはテキサス(or 南部)のカウボーイだから・・・」と称する場合があるが、“カウボーイ”だと日本の“侍”や“武士”に近いポジティブなニュアンスがあるので、単純にその“田舎臭くて粗野なイメージ”を強調して揶揄したい場合は“レッドネック”を用いた方が効果的と思われる。
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