クロガケジグモ
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クロガケジグモは、ガケジグモ科に属するクモである。人家に多く、ぼろ網を張る。クモではめずらしい移入種である。
[編集] 特徴
クロガケジグモ(Ixeuticus robstus)は、ガケジグモ科に属するクモである。クモとしてはやや大きい方で、体長1.5cmほど、全身黒で、毛が密生している。腹部は卵形に近い楕円形である。
人家の屋根の角や、家具の隅などに巣を作る。巣はトンネル状で、家具や壁の隙間などに入り込むように作られる。巣の入り口から周囲に網を張る。網は全体としては不規則な形のロート状で、粗く糸を張っている。中央の巣穴は、複数の入り口をもつことが多い。糸は、不規則ながらも巣穴を中心に放射状に張られた糸の間に、粘着する糸をジグザグに張ったもので、ジグザグの糸が餌の虫に粘着する。網は張り替えず、破れたらそこに追加の糸を平行する形で張り、ジグザグの糸を書ける。ジグザグの糸は、当初は淡い色でふわふわしているが、次第に白っぽくなる。このようにして、網の形はだんだん混乱し、乱雑になるので、ボロ網と呼ばれることがある。
雌は巣穴の中で産卵し、卵のうは糸で包まれ、巣穴の壁に張り付いた形の半球形である。孵化したコグモはしばらくは雌の巣にとどまり、その後周辺に散って行く。
[編集] 侵入の過程
このクモは、クモ類にはめずらしい移入種である。1970年代に大阪で発見され、後に奈良でも採集された。人家に生息する、比較的大型の目立つクモでありながら、発見当初は正体不明であった。専門家は日本からアジア近辺の記録を当たったが、該当するものがなく、大変不思議がられた。それが、実はオーストラリア産の種であることが判明、帰化種であること考えられるようになった。その後、和歌山県南部にも飛び離れて分布していることが判明し、それからは、大阪、奈良からは近畿地方、中部地方南部へと分布が拡大、和歌山県南部からも北上して、本州南部西地域に分布を広めている。バルーニングを行わず、分布拡大はクモそのものの移動と、人為的な物品移動に伴うものと考えられる。
侵入の経路については判明していない。原産地のオーストラリアにおいても人家に生息する種であり、家具や機会にまぎれて侵入したと見るのはたやすい。しかし、人家に生息するアシダカグモなど、広範囲に分布するものが有史以前の帰化種である可能性があるにせよ、同様な生活をする種であっても、近代になって侵入したことが確かなものは他にない。後に、セアカゴケグモ騒ぎが起きるまでは、クモ類では唯一の帰化種として扱われていた。
[編集] 近縁種
ガケジグモ類には、在来種が数種ある。いずれも物陰にトンネル状の巣を作り、入り口にぼろ網を張る。最も普通なのはヤマトガケジグモで、乾燥した草地の地面にボロ網を張る。体は5mm程度、黒くて毛の生えた体に、腹部には白い矢筈状の斑紋が並ぶ。
なお、以前はガケジグモ科に分類されていたが、篩疣類の分類が見直されている中で、その扱いは定まっていない。