グリーソン分類
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グリーソン分類(‐ぶんるい)とは、前立腺癌(英語:prostatic cancer)の病理組織学的分類として、1966年にDonald F. Gleason(米国)が最初に提唱した階層化(英語: grading)の方法である。
[編集] 分類方法
正式にはGleason grading systemという呼称が使われている。前立腺に発生する悪性腫瘍のほとんどは腺癌(英語: adenocarcinoma)であり、前立腺固有の腺房細胞由来であるためWHO分類ではacinar adenocarcinomaと記載されている。通常、腺癌の病理組織学的分類には癌細胞の分化の程度に応じて高分化腺癌、中分化腺癌、低分化腺癌に分ける方法が日本では採用されてきた。Gleason grading systemは腫瘍細胞の分化度、細胞異型を考慮せず、浸潤パターンや構造異型のみに着目して前立腺癌の形態をパターン1からパターン5の5段階に階層化する方法を考案した。
さらに画期的なことは、前立腺癌の組織像の多様性を考慮して量的に最も優位なパターンとそれより劣勢なパターンの数の合計をグリーソンスコア(= Gleason score, Gleason sum)として表現する方法を導入したことである。実際の記載の方法としては、
Gleason score 4+3=7
と表記した場合、pattern 4が優勢型、pattern 3が従属型となり、中分化腺癌の場合にもっともよく認められるスコアである。Patterns 1-5まであるため、グリーソンスコアは1+1=2から5+5=10まで9段階があるが、針生検の診断ではGleason score 5-10の中にほとんどの腺癌が収斂される(何故なら面積の小さい針生検標本で、構造異型の小さい高分化な腺癌を、過形成にとどまっている前立腺腺房と、HE染色のみで鑑別することは殆ど不可能だからである)。
現在、日本では従来の高分化腺癌~低分化腺癌という分化度による分類とグリーソンスコアを併用して病理診断がなされている。しかし、前立腺癌に関するWHOのConsensus conferenceでもグリーソン分類の使用が推奨されるようになり、世界的な潮流にならって主要な診断基準になりつつある。
[編集] 治療への反映状況
その後の臨床研究を通じてグリーソンスコアと予後との相関が確認され、前立腺癌の自然史の予測、前立腺摘除後や放射線治療後の再発リスクを評価するうえでも有効なシステムであることが認められ全世界的に普及する病理組織学的分類法となった。
Gleason DF. Classification of prostatic carcinomas. Cancer Chemotherapy (Rep Part) 1966;50:125-128.
病理医は経直腸的針生検で発見された通常型の前立腺癌を病理診断する際に、このGleason grading systemに基づくグリーソンスコアを計算し泌尿器医に結果を報告している。泌尿器医は臨床所見に基づく臨床病期とグリーソンスコア, PSA値などを参考に患者の予後予測を行ったうえで、治療方針を決定している。
[編集] 外部リンク
Johns Hopkins大学の病理学者のJonathan I. Epsteinらは、ウェブサイトを開設して病理医のGleason grading systemに関する知識の普及や実際の診断のトレーニングになる資料を公開している。