ジョーダン・ルーデス
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ジョーダン・ルーデス(Jordan Rudess, 1956年11月4日 - )は、キーボーディストである。現在はドリーム・シアターのメンバーであり、その卓越したテクニックから"The Wizard of Keyboard" (キーボードの魔術師)と呼ばれている。
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[編集] バイオグラフィー
小学二年生のとき、学校の先生が教室で彼がいかに上手にピアノを演奏するかという事を電話したことから、本格的なレッスンを受け始め、9歳のときにジュリアード音楽学院に入学し、クラシック音楽の専門知識を学ぶ。その後、ジュリアード音楽院に進学し、クラシックを学びはするが、EL&Pの「Tarkus」という曲を聴き、ロックやプログレッシブロックに興味を持ちだし、Speedway Blvdというバンドの一員としてメジャーデビューを果たす。
1994年、キーボードマガジン誌で、Best New Talent部門に投票され、Overall Best Keyboardist部門ではキース・エマーソンに続く2位を獲得した。そのころ、Dixie Dregsと前任のケヴィン・ムーアが脱退したドリーム・シアターという2つのバンドからオファーを受けるが、この時はDixieのツアーに同行する。その後、ドリーム・シアターのマイク・ポートノイ、ジョン・ペトルーシのプロジェクトであるLiquid Tension Experimentに参加する。
そして1999年、再びドリーム・シアターからオファーを受け、正式メンバーとして加入。アルバム『Metropolis Pt2: SCENES FROM A MEMORY』をリリースする。その後のドリーム・シアターでの活動についてはドリーム・シアターを参照。
最近では各社の製品のデモンストレーションを務めることも多く、2007年に行われたNAMMショーではRolandのブースにおいてロッド・モーゲンスタインとともにRudess Morgenstein Projectの曲を披露した。その後2月7日、2月10日に日本で開催されたサウンド・スパークと言うイベントでも演奏を披露した模様。
[編集] ディスコグラフィー
- Listen
ジョーダン・ルーデス初のロックのソロアルバム。
特筆すべきは、古いシンセサイザーによる温かみのある音と、ジョーダン本人がヴォーカルをとっていることである。楽曲は全体的にプログレとは関係なさそうな、ポップ/ロック形式をとっているものの、間にちりばめられたソロなどから、テクニカルロックアルバムであることがわかる。なお、このアルバムが発売された際に、インタビュアーに肝心な楽曲の内容ではなく、ヴォーカルをとった件についてばかりインタビューを受けたことにジョーダンは不満を覚え、後のアルバムではヴォーカルをとっていない。ただし、Dream Theaterの「The Glass Prison」のデス声や、ソロアルバムのFeeding The Wheelの「Revolving Door」のラップ等、歌メロ以外の部分では声で参加しているように思える。
Listenの使用機材リスト。
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- Emax Sampler
- Korg Wave Station AD&EX
- Korg T3
- Korg 01W
- Korg 03R
- Kurzweil 1200
- Oberheim Matrix 12
- Oberheim Expander
- Roland Super Jupiter
- Roland S770 Sampler
- Sequential Circuits T8
- Moog Taurus Pedal
- Yamaha 802
- Rudess Morgenstein Project
ドラマーのRode Morgensteinと共同で作ったロックアルバム。全曲インストゥルメンタルである。
- Feeding The Wheel
2枚目のロックアルバム。このアルバムの時期にDream Theaterに加入し、大々的にセールスが行われた。オーケストラやラップ、ジャズソロなどのジョーダンの様々なアレンジテクニックが伺える。また、豪華アーティストがゲスト参加しているのも見逃せない。(Terry Bozzio,Eugene Friesen,Steve Morse,John Petrucci,Billy Sheehan,Mark Wood)このアルバムも全曲インストゥルメンタルである。
- Rhythm Of Time
3枚目のロックアルバム。ListenやFeeding The Wheelが多方面にわたるアレンジがなされていたのに対し、Rhythm Of Timeは全体的にメタル寄りなアレンジがなされている楽曲が多い。ジョーダンはこのアルバムを2週間で仕上げた。ちなみにヴォーカル入りの楽曲(4曲目と8曲目)もある。 CDではジョーダンはヴォーカルをとっていないが、付録ではジョーダンがヴォーカルをとった映像を見ることもできる。
[編集] 機材について
ステージ上にキーボード一台のみを置き、それから全ての音色を操るという独特のスタイルを持つ。 90年代はKurzweilのキーボードをマスターとして使用していたが、2005年のドリーム・シアターのワールドツアーよりKORGのOASYSに変更している。 また、キーボードではないが、HAKENのContinuum、ラップスティールギターも2005年のツアーから導入し、表現の幅を広げている。 ラック音源は以前は、KurzweilのK2500R、KORGのTRITON-Rack,KARMA等を多数使用していたが、OASYSを導入したのにあわせてMuse Research社のReceptor XTとContinuumのためのV-Synth XTの2つのみに簡素化した。 キーボードスタンドも独特で、キーボードを乗せる部分が360度完全に回転できるようになっている。 パトリック・スレーツ(Patrick Slaats)というオランダの職人による特注品らしい。(ライブDVD "Live at Budokan"でのコメントより) どの角度でも音色切り替えなどを行えるように同じ機能を持つペダルが複数設置され、足元は大変複雑なことになっている。
ツアーにおいての機材
- Metropolis 2000 tour
その他、詳細不明
- Six Degrees Of Inner Tourbulence
- Kurzweil K2600X、K2600R
- Korg KARMA(MIDI経由でコントロール)
その他、停電に備えた予備電源など。
- Train Of Thought tour(Live At Budokan)
- Kurzweil K2600X、K2600R
- Korg TRITON-Rack、KARMA(MIDI経由でコントロール)
- FreeHand Systems MusicPad Pro(楽譜を表示させるのに使用。楽器ではない。)
その他、停電に備えた予備電源や、ミキサーなど。
- Octavarium world tour
- Korg OASYS
- Haken Audio Continuum Fingerboard
- Muse Research Receptor XT
- Roland V-Synth XT
- Synthesizers.com Modular
- FreeHand Systems MusicPad Pro
日本公演でのセッティングについては、[1]を参照。
- その他のライブ
時折、KORG Triton Extremeも使う姿が見受けられる。
その他、レコーディング時の機材は本人のホームページのGearの項目で確認できる。
[編集] 教則DVD
- Keyboard Madness - Mastering Live Performance DVD
Dream TheaterやLiquid Tension Experiment等のフレーズを用いて、 キーボードのレイヤーやスプリットなどを解説したり、独自の練習方法を紹介するDVD。 またRhythm Of TimeからTime Crunch,Screaming Head,RAを生演奏する映像も入っている。
- Keyboard Wizardry DVD
キーボードの演奏テクニックについての教則DVD。内容はシンセリードのスケールやベンディング方法、 ピアノとベースのコンビネーションや、鍵盤ごとにいろんな音色を配置して行うパフォーマンスなどである。 ちなみにRudess Morgenstein Projectの曲もところどころで演奏されているのが興味深い。
[編集] デモ
ジョーダン・ルーデスはKORGを始め、様々な製品のデモやチュートリアルビデオを製作している。
KORG / Triton Extreme
KORGのTriton系列のシンセサイザー。ライブ向きという評価が強い。
ジョーダンはデモソングとして、「Extreme RA」を作曲した。
この曲はジョーダンのソロアルバム「Rhythm Of Time」の7曲目の「RA」のアレンジ版である。
KORG / OASYS
KORGのもっともハイエンドなシンセサイザー。日本円にして80万円前後。
Winter NAMM 2005にてジョーダンがOASYSを演奏した模様がVideoのページで公開されている。
Synthesizers.com / Modular
モジュラー型の古典的なシンセサイザー。
一応デモソングとして、Octavariumのソロのパートが公開されている。
Muse Research / Receptor XT
コンピュータを使わず、ハードウェア的にVSTを利用することが可能なラック。
ジョーダンはチュートリアルビデオを作成した。
MOTU / Symphonic Instrument
オーケストラに特化されたVST。
ジョーダンはデモムービーを作成した。
Roland / V-Synth XT
Roland独自のバリフレーズ・テクノロジーを用いて作られたシンセサイザー。
PCM系シンセサイザーよりも幅広い音作りが可能。
ジョーダンはV-Synth XTのためのパッチを作成した。
Synthogy / Ivory
何十GBもの容量を生かしたピアノ音源として用いるVST
ジョーダンはデモソングの「Ivory Moments」を作曲した。
また、Dream Theaterの活動において、
「Train Of Thought」まではKurzweil K2600のピアノの音色を使っていたが、
「Octavarium」からはIvoryをレコーディングに使った。
理由は本物のピアノとIvoryを両方レコーディングし、
メンバーに尋ねたところ、Ivoryのほうが良いと評価されたためである。
(Keyboard Magazineより。)
M3 Music Workstation / KORG
2007年3月発売予定のKORGのワークステーションシンセサイザー。
ジョーダンはThe Path of Truthというデモソングを作成している。