スラブ近似
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スラブ近似(スラブきんじ Slab approximation)は、周期的境界条件に縛られる通常のバンド計算手法(除く実空間法)において、表面などの周期的境界条件を満たさない系を扱うための一便法である。スラブモデル(Slab model)または、周期的スラブモデル(Repeated slab model)とも言うことがある。
まず、表面を扱うためには、スーパーセルを考え、その中に表面層(スラブ)と真空層を考える(つまり、表面層-真空層-表面層-真空層・・・が無限に続く周期系と考える)。表面層及び真空層が十分に厚ければ(このためスーパーセルが必要)、表面層(スラブ)同士及び、表面層の表面(おもてめん)と裏面との相互作用の影響を無視することができる。
表面層は、表裏両面を同等に計算する場合と、裏面を水素等で終端(大抵固定)して計算する場合がある。
原子や分子の片面吸着により表面の電気分極が大きくなる場合でもスラブ間の双極子相互作用を打ち消す外部電場を加えることでスラブと真空層を薄くとることができる。