セプテントリオン
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『セプテントリオン』(Septentrion) は1993年5月28日にヒューマンから発売されたスーパーファミコン用テレビゲーム。ジャンルはアクションアドベンチャーゲーム。
1999年3月11日にはプレイステーション用ソフトとしてリメイク版の『セプテントリオン ~Out of the Blue~』が発売された。
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[編集] スーパーファミコン版
[編集] 概要
テレビゲームに映画のような迫力とライブの様な臨場感を持たせることを目指して作られた「シネマティックライブ」シリーズ第一弾。パニック映画特有の感覚をゲームシステムに高いレベルで取り入れている。
豪華客船レディ=クリサニア号が嵐による津波によって転覆。主人公は生存者を探索・救出しながら、60分以内に沈没する客船を脱出しなければならない。
[編集] ゲームシステム
基本はサイドビューのアクションゲーム。ジャンプで足場を乗り越えたり水中を泳いだりしながら脱出口と生存者を探していく。とても高い場所から落ちてしまったり、落ちてくる障害物などに当たったりするとミスとなり、仲間にした生存者と引き離されると共に5分経過のペナルティが与えられる。60分を越えてからミスするとゲームオーバー。
見つけた生存者は自動的、生存者によっては回答による説得で仲間にする事ができる。仲間にした生存者(以下、仲間と表記する)は主人公についてくるが、自動ではなく操作する主人公がいる地点を指定することで仲間がそこに移動する方式であり、誘導は自由とは言えない。仲間が危険な場所を越える際は手を貸すことで補助することができる。高い場所からの落下や体力[1]が尽きた事によって死んでしまった仲間は二度と復活しないため、誘導には慎重を要する。子供や女性、老人など体力の低い者はすぐに疲れてしまったり、主人公が助けてやらなければ障害を越えられなかったりする。
船は時間の経過と共に傾斜が変化し[2]、それまで行けた場所に行けなくなったり、逆に行けなかった場所に行けるようになったり、浸水したりしていく。船内の構造は一定だが傾斜の変化はランダムであるため、脱出口を確保しているとしてもそこまでの道が常に安定するとは限らない。救助する生存者によってルートも異なるため、常に新鮮な気分でプレイすることができる。
手堅く攻略するには、プレイヤー各自のマッピングによって脱出口への通路と救助する生存者の場所を明らかにした上でプレイすることが求められる。
脱出に成功したらエンディングとなる。一緒に脱出できた仲間のポイント[3]の合計と重要人物の救助状況によってエンディングが決定するマルチエンディング制。
[編集] 演出
世界観は『ポセイドン・アドベンチャー』のオマージュである。主人公の一人はスコット牧師と全く同じ特徴を持ち、中には同作と全く同じ会話までされることも。また、ゲーム中の字幕やオープニングやエンディングのスタッフロールも映画そのものであり、ここまで一貫して映画を意識している作品も珍しい。
しかし、ゲーム中の演出がゲーム側からの一方通行ではなく、それぞれのプレイによって映画のように息詰まる展開がなされるような設計がされていることは評価に値する。
BGMは1曲が続けて流れるのみだが、音楽の出来が良いためゲームを盛り上げると共にプレイヤーのストレスになることはなく、BGMとしての効果を十分に発揮している。
[編集] 主人公
ゲーム開始時に以下の4人の中から主人公を選択する。主人公によってスタート地点が異なり、それぞれ独自の能力を持っている。
- キャプリス=ウィッシャー
- 生真面目な観光客(建築家)。23歳。平均的な能力を持っている。
- 重要人物は義妹のエイミー。
- レドウィン=ガードナー
- 熱血漢の牧師。39歳。牧師という立場上、他の主人公よりも説得を容易に進めることができる。
- 重要人物は子供の姉弟であるハリーとステラ。
- 『ポセイドン・アドベンチャー』の主人公とほぼ同じ特徴を持っている。
- ルーク=ハインズ
- 正義感に燃える航海士。21歳。地図を持っているため位置の把握が容易(ただし、船内には地図に載っていない場所もある)。
- 重要人物は沈没したレディ=クリサニア号のオーナーであるイスメイ(名前はタイタニック号のオーナーだったJ・ブルース・イズメイから)。
- ジェフリー=ハウエル
- 温厚な医師。54歳。医師であるため生存者の怪我を治すことができる。
- 重要人物は妻のアデラ。
[編集] 注釈
- ^ 主人公は時間の許す限り移動する事ができるが、仲間は移動を続けると体力が減り、一定の距離を移動すると疲れてしまう。体力は移動を止めることで回復する。
- ^ スーパーファミコンの機能であるオブジェクトの回転機能を使用している。演出に使われることは多いが、このようにゲームシステムに深く関わるケースは稀だと言える。また、この回転機能のためにプレイヤーが酔ってしまうこともあるので注意。
- ^ 生存者にそれぞれ設定された得点。子供や女性など救助が困難なキャラなほどポイントが高い。
[編集] プレイステーション版
プレイステーションの機能を活かしてグラフィックが3Dポリゴン化されているが、操作性や内容など練りこまれていない部分が多く、スーパーファミコン版のファンからはあまり評価は高くない。
[編集] 関連項目
- ザ・ファイヤーメン
- クロックタワー