ソン
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ソン(son)はキューバ起源のラテン音楽。スペイン語で音という意味を持つ。
一般的に前半のメロディーの歌曲形式と、後半のモントゥーノと呼ばれるソロ歌手とコーラスの掛け合いの形式をとっている。この掛け合い部分を強調したものをソン・モントゥーノと呼ぶこともあれば、モントゥーノ部分がないものもある。
[編集] 歴史
19世紀、キューバのオリエンテ地方が発祥地(極初期は16世紀頃)。ソンの起源はいろいろ分かれているが、1850年年代に、サンティアゴを中心に唄われていた「マ・テオドーラ」が最初であるとされる。1868年の戦争で、兵士達がギターやマラカスなどの楽器を持ってハバナに入り、ポピュラー音楽として発展していった。ギアとモントゥーノの2パートにより構成されており、ギアはスペイン的歌曲のメロディー・パートであり、モントゥーノはアフリカ的要素のコール・アンド・リスポンスである。
アメリカやヨーロッパで演奏活動をした、ギタリストのミゲール・マタモロス、ギタリスト兼ヴォーカリストのラファエル・クエト、マラカス奏者のシロ・ロドリゲスの3人組、「トリオ・マタモロスソン」により世界へ広められた。1925年、ソン・トリオにボンゴを加えたバンドが出てきてから、その後も形式を変えていき、ギター、トレス、マリンブラ、ボンゴ、そして、シンガー2人が演奏するクラベスとマラカスのセステート(6人編成)が確立され、1930年のソンの全盛期には、そこにトランペットが加わり、セプテート(7人編成)となった。「コンフント」と呼ばれた大人数のグループは、ホーンセクション、ギター、ベース、シンガー、ピアノ、ボンゴにコンガと、現在のラテンバンドに近い形で演奏していたようである。
キューバ革命以降は低迷の時期を迎えるが、1970年代に入り、アダルベルト・アルバレスやシエラ・マエストラによって、現代的な解釈を加えられた。その後もソンは発展し続け、常にキューバ音楽に寄与し、他のジャンルの音楽にも影響を与えている。
[編集] ルンバ(rhumba)との関係
ルンバ(rhumba)はこのソンが起源で1920年代に成立した音楽。「南京豆売り」や「コーヒールンバ」が代表曲にあげられる。
海外に「ソン(son)」を紹介する際、英語の「ソング(song)」と混同されないようにと「ルンバ(rhumba)」の名で知れ渡ったといわれるのが通説である。「ボレロ(bolero)」とも結びつき、社交ダンスの一種として踊られる。尚、キューバでルンバ(rumba)といえば、もっとアフリカ色の強い打楽器音楽を意味するので、混同しないようにしたい。詳しくはルンバの項を参考されたし。