タビト
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タビト(Tabit)はオリオン座のπ3星で学名はπ3 Orionis(略称はπ3 Ori)。オリオン座の西端に輝く。
[編集] 物理的性質
タビトは3.19等の薄黄色の主系列星でスペクトル型はF6Ⅴ。実視絶対光度は太陽よりやや明るい程度(資料により2倍から2.8倍までまちまちだが、大体2.3倍程度と考えられている)で距離は25光年。遠い星の多いオリオン座の星々の中ではもとより全天の明るい恒星の中でも太陽系に近い星である。
太陽系の年齢、すなわち地球が誕生してから知的生命体による文明が形成されるまで約46億年の期間があることを考えると、ある恒星の周囲を公転している惑星に地球外生命が誕生して文明社会が誕生するには中心となる恒星が主系列にいる期間が50億年以上あることが条件の1つとなる。タビトは主系列にいる期間が50億年かそれよりやや長い程度と考えられており、タビトくらいの質量・光度・直径をもつ主系列星が周囲を公転する惑星に知的生命体が誕生する上限といわれている。
なお公転する惑星に知的生命体を育む可能性のある恒星としてはオリオン座では他にχ1星(χ1 Orionis、4.39等、スペクトル型G0Ⅴ、距離28光年)があり、他の星座ではエリダヌス座ε星(ε Eridani、3.72等、スペクトル型K2Ⅴ、距離10.8光年)とくじら座τ星(τ Ceti、3.49等、スペクトル型G8Ⅴ、距離11.8光年)等が知られている。ε Eriは太陽系から9番目に、τ Cetは17番目に近い星であり、χ1 Oriもタビト同様オリオン座の恒星、さらには全天の明るい恒星の中でも太陽系に近い星であるといえる。