ターンパイク定理
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ターンパイク定理(ターンパイクていり)とは、A地点からB地点に行くのに、直接行くのではなく、高速道路(ターンパイク)に乗ってC地点までノン・ストップで行き、そこで高速道路を降りて目的地点Bに向かったほうが、距離は長くても早く着くように、経済成長も、経済成長最大の経済成長路線(ノイマン型均衡成長)をたどったうえで、目標の近くでこの路線から離れるのが最も効率がよいという、ポール・サミュエルソンの証明である。
この成長理論は、資源制約がなく、体系外に生産物が流出することもなく、すべての生産物が体系内で消費されるという閉鎖体系モデル(マルクスの拡大再生産もこのようなモデル)である。森嶋通夫らは、労働供給の成長率を制約条件にしたり、最終目的を種々与えて成長率路線を考えた。こうした考えは1950年代後半から1960年代、アメリカ、日本などで成長が続いたときに盛んであった。現実政策としては、日本経済のように、高い経済成長率を続け、その成果のうえに福祉政策を実現するほうが、初めから福祉政策と成長とを考えるよりも効率的であるというものであるが、経済は非可逆的で、高い成長率のもとで、地価が上がりすぎるなどの歪みが生じ、非可逆性を前提としないターンパイク定理のようにはいなかい。中国の鄧小平の考え(改革・開放政策)も一種のターンパイクであり、成長が同時に不平等の増大をもたらしている。