デザイナーベビー
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デザイナーベビー(designer baby)とは、受精卵の段階で遺伝子操作を行なうことによって、親が望む外見や体力・知力等を持たせた子供の総称。親がその子供の特徴をまるでデザインするかのようであるためそう呼ばれる。デザイナーチャイルド(designer child)、ジーンリッチ(gene rich)とも呼ばれる。
本来受精卵の遺伝子操作は遺伝的疾病を回避することを主目的に論じられてきたが、親の「より優れた子供を」という欲求に従い外見的特長や知力・体力に関する遺伝子操作も論じられるようになってきた。フィクションによる影響の為か、デザイナーベビーは先天的に高い知力・体力を保有すると思っている者も多いが、実際にはあくまでも子供が持つであろう能力のポテンシャルを若干向上させるだけであって、仮にデザイナーベビーが誕生したとしても、生まれ付きの高い知力・体力や将来の劇的な能力向上を期待出来る訳ではないとした見方が一般的である。
クローン人間とは違い、デザイナーベビーを産み出すためにクローン技術は不要である。しかし技術的にも倫理的にも強く問題視されており、現在作られていない。
[編集] フィクションへの登場
- アーヴ‐森岡浩之のSF小説『星界の紋章』シリーズに登場するデザイナーベビー。
- コーディネイター‐テレビアニメ『機動戦士ガンダムSEED』に登場するデザイナーベビー。
- 『YASHA-夜叉-』‐生まれながらに神経細胞成長因子を組み込まれたDNAを持った一卵性双生児「新しい人類(ネオ・ジーニス)」を描いた吉田秋生の漫画。
- 優生人類‐アメリカのSFテレビドラマ『スタートレック』に登場するデザイナーベビー。同作品原作者のジーン・ロッデンベリーは「他者に対する優位を植えつけられたものは、他者を抑圧することしか考えない」として、デザイナーベビーの是非を問うた。
- 『ガタカ』‐アメリカの映画作品。
- 『シェルブリット』‐幾原邦彦と永野護によるSF小説。遺伝子改造により身体能力が強化された人類「ジーン・メジャー」と、生きた宇宙船と言うべき姿になった人類「ジーン・ライナー」が登場する。
[編集] 参考文献
- リー・M.シルヴァー 『複製されるヒト』 東江一紀ほか訳、翔泳社、1998年。ISBN 4881356089