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デストロイド - Wikipedia

デストロイド

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

デストロイド(DESTROID)は、SFアニメ超時空要塞マクロス』および関連作品に登場する架空の兵器。DESTROY(破壊)とANDROID(人型ロボット)の造語で総称される、陸戦用二足歩行ロボットの兵器体系。

目次

[編集] 概要

マクロス世界の地球側メカニックはオーバー・テクノロジーを用いた現代兵器の進化形であり、ロボット兵器の分類は航空機系のバトロイドバルキリー)と、陸上機系のデストロイドシリーズに大別される。

サブメカニックであるデストロイドは、主役機バルキリーが活躍する空中戦アクションの傍らで、「機動性の劣るやられメカ」として描かれることが多かった。しかし、徹底したミリタリー意匠や、細身でしなやかなバルキリーに対し、重厚で凄みのあるデザインなど、独特のリアリティー溢れる存在感を放ち、マクロスのSF世界観を拡げる名脇役でもあった。

1980年代初期のリアルロボット作品においては、コンバットアーマー(『太陽の牙ダグラム』)、アーマードトルーパー(『装甲騎兵ボトムズ』)などとともに、ハードSF指向の「陸戦用量産兵器」というカテゴリーを開拓した。とくにデストロイドが画期的であったのは、戦略思想に基づく「砲撃型」「格闘型」などの機体バリエーションが揃えられていた点であった。各々の開発思想も述べられており、形状・機能なども合理的で、車体(下半身)を共用し、武器(上半身)を交換するというアイデアにも見所があった(これを活かし、タカトクトイスは組み替え式玩具「デストロイド・コンバージョンキット」を販売している)。巧妙な設定には、パワードスーツのイラストなどで知られるスタジオぬえの個性が十分に反映されていた。

これらのコンセプトは後の国内のメカニックデザインに限らず、海外におけるロボット兵器の概念にも多大な影響を与えた。米国産で現在標準的な米国人の認識にあるリアルロボット「MECH(メック)」の項も参照されたし。

[編集] 作中での活躍

デストロイドは統合陸軍の提案に基き、宇宙防衛ライン上の惑星・衛星上における拠点直衛兵器として開発された。海軍・空軍が汎用機(バトロイド)開発に絞りこんだのに対し、陸軍はオーバーテクノロジーによる技術進化から、兵器体系を拡げる方針を採った。このため、各軍事メーカーによる開発競争の末、じつに多様な機種が制式採用されることになり、作戦展開用の強襲揚陸艦ダイダロスも建造された。

ゼントラーディ軍との開戦時、母艦ダイダロスごと宇宙に連れていかれたデストロイド部隊は、もっぱらSDF-1マクロスの手薄な対空砲火を補う移動砲台としての任務に従事した(艦内市街地の再建作業に駆りだされもした)。巨大宇宙戦艦同士が砲火を交え、衛星軌道上からの砲撃で惑星ごと殲滅するような戦局において、陸戦兵器本来の運用思想は意味をなさなかったのである。唯一、マクロスの強攻戦術ダイダロスアタックにおいてはその火力を存分に発揮、陸軍のプライドを満たす活躍ができた。

さらに後年、追加装備により可変戦闘機が火力と装甲を増すと、機動力を欠くデストロイドは時代遅れの兵器となっていった。2040年代には、土木重機に転用されたり射撃訓練の標的になるなど、ほぼ絶滅種の存在である。続編「マクロス7」の劇中ではデストロイドという呼称も廃れ、「バトロイド」と総称される始末であった。それでも、対地攻撃力という概念は可変戦闘機の系譜に交わり、可変攻撃機(バリアブル・アタッカー:VA)や可変爆撃機(バリアブル・ボンバー:VB)などの亜種として生きながらえた。

[編集] 機体

形式番号は、型式名/シリーズ番号/タイプをあらわす。

03シリーズまでが試作型で、04シリ-ズの原型MBR-04-Mk.Iの名称「デストロイド」が全体をあらわす総称となった。系統は主にビガース社・クラウラー社が共同開発した04シリーズと、センチネンタル社・クランスマン社が共同開発した07シリーズがある。04シリーズは主機熱核反応エンジンと歩行制御システムを内蔵する下半身を共通プラットフォームとすることで、量産性・運用性の向上やコストダウンを図っている。例えるならトマホークが主力戦車、ディフェンダーが自走対空機関砲、ファランクスが自走対空ミサイルで、共通シャーシを用いたAFVのファミリー化と同じ発想といえる。

ちなみに、各デストロイド・バトロイドのニックネームは、全て現実に存在する航空機や戦闘車輌、ミサイルなどの名前からとられている。


[編集] トマホーク (TOMAHAWK)

機体諸元
型式番号 MBR-04-Mk.IV
全高 11.27m(頭部まで)
全備重量 31.3t
乗員 1名
エンジン (主機)MT808 熱核反応炉
(副機)EM9G 燃料発電機
出力 (主機)2800SHP
(副機)450kW
武装 PGB-11 荷電粒子ビーム砲×2
M-89 空冷マシンガン×2
TZ-III ガンクラスター×2
(レーザー砲、機関砲、火炎放射器など)
12連発ロケット弾ランチャー×2
6連発対空自己誘導ミサイル×1
開発製造 ビガース/クラウラー社共同開発

重装砲撃型デストロイド。型式名MBR(Main Battle Robot)は現用の主力戦車、MBT(Main Battle Tank)に由来する。機体前面に各種武装を配し、集中的火力により中~近距離域の敵陸上兵力を殲滅する。

Mk.IVは初めて制式採用されたデストロイドシリーズの主力機であり、MK.Iの両腕を荷電粒子ビーム砲に置き換え、更なる火力向上を図っている。格闘能力の低下は、胸部ガンクラスターの機関銃やグレネードランチャー、火炎放射器などの近接兵器で補っている。肩腕部はウェポンベイとして随時換装可能で、04系の特徴である上半身の独立した燃料発電機により稼動する。

主力戦車的な機体であり、04系の中ではマクロス艦上ではもっとも防空任務に不向きであったが、ダイダロスアタック時には最前列に陣取り、水平方向への強力な攻撃力を見せつけた。

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[編集] ディフェンダー (DEFENDER)

機体諸元
型式番号 ADR-04-Mk.X
全高 10.73m(アンテナまで)
全備重量 27.7t
乗員 1名
エンジン (主機)MT828 熱核反応炉
(副機)EM10T 燃料発電機
出力 (主機)2800SHP
(副機)510kW
武装 TYPE966 PFG 78mm液冷高速自動砲
(通称コントラベスII)2連装×2
開発製造 ビガース/クラウラー社共同開発

対空迎撃型デストロイド。型式名ADRはAnti-air Diffence Robotの略称。近代兵器の対空戦車に相当する。

04シリーズの発展的運用型のひとつで、両腕の2連対空砲から大口径78mm弾を1砲身あたり毎分500発(4門計毎分2000発)発射可能。弾帯は両肩部の交換式弾倉から供給される。宇宙空間での超遠距離射撃を目標とした精密なレーダー照準システムが搭載されるが、コスト面で量産の妨げとなり、機体配備数は伸びなかった。

艤装作業前に緊急発進したマクロスでは、脆弱な防空火力が課題となった。ディフェンダーは代わりにその砲座に配置され、バトルポッドなど敵機動兵器の迎撃に当たった。


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[編集] ファランクス (PHALANX)

機体諸元
型式番号 SDR-04-Mk.XII
全高 12.05m(サーチライト上端まで)
全備重量 47.2t
乗員 1名
エンジン (主機)MT828 熱核反応炉
(副機)CT03 小型熱核反応炉
出力 (主機)2800SHP
(副機)970kW
武装 SHIN-SHM10 短射程高機動自己誘導
ミサイル 22発ポッド×2
探知兵器 DARDA-3C 電子系破壊用
グレーザ・レーダー
開発製造 マクロス艦内兵器廠

宇宙用近接防空型デストロイド。型式名SDRはSpace Diffence Robotの略称。地対空または艦対空迎撃ミサイルランチャーに相当する。

地球帰還途中のマクロス内で、防空力補強の応急策として、量産難のディフェンダーに代わって急遽開発された。デストロイドの歩行系剰余パーツを使い、単純な撃ちっ放し式ミサイルポッドを付けた「現場合わせ」の機体。副機にも反応エンジンをもち、大型推進ノズルを吹かせば短時間の高機動運動が可能。稼動レンジは極めて狭いが、コストパフォーマンス的には一応の成功作といえた。

なお、胸部内のガンマ線照射式レーダーは、最大ボリュームで敵機に向けるとパイロットを焼殺してしまう。地球人同士の戦争では非人道的兵器とみなされるが、異星人との交戦下では使用された模様である。


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[編集] スパルタン (SPARTAN)

機体諸元
型式番号 MBR-07-Mk.II
全高 11.31m(肩まで)
全備重量 29.4t
乗員 1名
エンジン DT2004 熱核反応炉
出力 3200SHP
武装 TZ-IV ガンクラスター×1
(レーザー砲、機関砲、火炎放射器など)
RQV-10 対空レーザー機銃×2
CH2 typeD 格闘用クローハンド×2
開発製造 センチネンタル/クランスマン社共同開発

近接格闘型デストロイド。異星人との肉弾戦を想定した歩兵的機体。Mk.Iに対空火器を付加したのがMk.IIで、のちにMk.Iも全機この仕様に改装された。

04系と異なる設計思想をもつ07系は高出力の反応動力炉1基で駆動する。副動力を除いて軽量化し、重装甲と敏捷な運動性能を両立した。腰部の複雑な動力伝達系の故障と主機DT2000シリーズの開発遅延から、04系のようなバリエーション展開は叶わなかったが、理想主義的な高性能はパイロットから評価された。これら07系の設計思想はセンチネンタル社が係わるバトロイドの開発にもフィードバックされた。

実際の格闘戦でも、ひとまわり大きい敵戦闘ポッドおよびバトルスーツ相手に健闘したが、むしろ戦後統治下のゼントラーディ人不満分子の鎮圧活動における活躍が目立った(第34話では主人公一条輝が搭乗している)。



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[編集] モンスター (MONSTER)

機体諸元
型式番号 HWR-00-Mk.II
全高 22.46m(砲先端まで)
全備重量 285.5t
乗員 3名(機長、砲撃手、操縦手)
エンジン (主機)WT1001 熱核反応炉
(副機)CT8P 燃料発電機
出力 (主機)11500SHP
(副機)890kW
武装 液冷式 40cm液体推薬キャノン砲×4
LSSN-20G 3連対地ミサイルランチャー
×2
開発製造 ビガース/センチネンタル社共同開発

超長距離砲撃型デストロイド。型式名HWRはHeavy Weight Robotの略称。「移動式の大口径砲」という思想は、前世紀の大戦時の列車砲に相当すると思われる。

オーバーテクノロジーの恩恵を授かった陸軍が「異星人の巨大兵器を大火力によって撃退する」という大時代的発想のもと、開発に固執した史上最大の非軌道陸戦兵器。40cm主砲4門には反応弾頭も装填可能で、戦略爆撃をもしのぐ威力を謳った。しかし285tもの自重で2足歩行するのは極めて困難で、小型の重力制御装置でアシストされても運動性は劣悪(歩くだけでマクロスの甲板を踏み抜いてしまう)。護衛部隊なしでは活動できず、生産数も少数に留まった。

デストロイドの衰退を象徴する存在かと思われたが、意外にも規格外の攻撃力を評価され、のちに局地戦用の可変爆撃機VB-6 ケーニッヒ・モンスターとして生まれ変わることになる。

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[編集] その他の機体

[編集] 先行試作型

OVAマクロス ゼロ』に登場する。統合戦争末期のプロトカルチャー遺跡争奪戦において、統合軍、反統合同盟が実戦投入した。

シャイアン (CHEYENNE)
MDR-04シリーズの試作型のひとつで、トマホークとディフェンダーの中間形態。両腕にガトリング砲を装備する基本型の他に、4連装対空ミサイルランチャーを付けたタイプもある。空母アスカ艦上では対空砲座に固定されているが、近距離戦闘時は砲座から射出され、脚部のローラーにより甲板上を高速移動する。背部ロケットモーターにより短時間のホバリング移動も可能。
オクトス (OCTOSS)
反統合同盟の水陸両用可変デストロイド。水中では潜水艦形態で行動し、上陸後は四肢を展開して四足歩行の重装砲撃形態となる。
プロトタイプ・モンスター
モンスターの試作型。形式番号はHWR-00-Mk.IP。両腕には3連装ミサイルランチャーではなく、砲撃時の反動制御用クローハンドが付いている。爆発力調整型反応弾頭を装填可能。

[編集] 外伝の登場機

パラレルワールド的なOVA『超時空要塞マクロスII -LOVERS AGAIN-』では、デストロイドは80年後も依然健在であり、それぞれの機種の発展タイプが開発されている。この世界でも下半身を共通プラットフォームとする設計思想が継続され、下脚部のローラーで移動する仕組みは上記のシャイアンと相通ずる(ただし、メカニックデザインとしてはこちらの方が先である)。

トマホーク Mk.II
両肩に長射程ビームキャノン2門、両腕にビームキャノン2門とレールガン2門を備えるなど、火力がより強化されている。
ディフェンダー EX
両腕に対空用レールガン2門を装備。移動用ローラーには射撃時の姿勢安定プレートが付いている。
ファランクス(改)
左右の腕にミサイルブロック(対空ミサイル14発×3)を2基ずつ装備する(計168発)。ブロックはそれぞれ独立して仰角を変えることが出来る。
ジャイアント・モンスター
機体上部の大型砲塔に長砲身キャノン砲6門を装備し、砲塔全体が水平方向に可動する。脚部には大型のホバークラフト機構があり、重力制御装置と併用して地表を浮上移動する。また、宇宙空間ではリニアレール方式で甲板上を移動する。

[編集] 関連項目

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