トーマス・クック社
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トーマス・クック社(Thomas Cook AG)は、近代的な意味での世界最初の旅行代理店。イギリスの旅行会社であったが、買収の結果ドイツのルフトハンザ航空の傘下に入り、現在はドイツの企業となった。
中世では、ヴェネツィア共和国などの商人などが聖地巡礼旅行の斡旋を行っていたが、旅行客のためにホテルや乗り物の予約代行や団体列車の運行をおこなうものはトーマス・クック社が初めてである。
設立者のトーマス・クックはプロテスタントの一派であるバプティスト派の伝道師で、禁酒運動に打ち込んでいた。1841年に開催された禁酒運動の大会に、信徒を数多く送り込むため、列車の切符の一括手配を考えだし、当時高価だった鉄道を割安料金で乗れるようにした。これをきっかけに一般の団体旅行を扱い始めた。
1855年からは、イギリスからヨーロッパ諸国への団体旅行も扱うようになった。1871年には彼の息子たちとともにトーマス・クック・アンド・サン社を設立した。1873年には『トーマスクック・ヨーロッパ鉄道時刻表 Thomas Cook Continental Time Table』を発刊した。1874年には、トラベラーズチェックの取り扱いも開始した。
1928年には、クック家の所有から離れた。2001年には C&N Touristic AG に買収され、Thomas Cook AGに改名した。『ヨーロッパ鉄道地図』も出版している。 現在ヨーロッパでは第2位、世界でも第3位にランクされるレジャートラベルグループに成長している。ツアーオペレーター、航空会社、旅行代理業、ホテルなど、旅行におけるさまざまな分野で幅広いネットワークを保持する。