トーマス・クック

出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』

トーマス・クック（Thomas Cook, 1808年11月22日 – 1892年7月18日）はダービーシャー州メルボルン出身で、彼の名前がついた旅行代理店の創業者、近代ツーリズムの祖として知られるイギリスの実業家。

[編集] 生い立ち

彼は厳格なバプティストの家に生まれ、長じてからは熱狂的な禁酒論者となっている。彼はわずか10歳で園芸師のもとに修行に出されたのを皮切りに、家具職人や印刷屋などの徒弟を転々とした。長じた彼はバプティストの布教活動と禁酒運動、家具職人とパートタイムの出版者という複数の職を兼任、そして、1828年にはバプティストの布教士に任命、その同年に彼はマリアンヌ・メイソンと結婚した。1834年に彼のひとり息子で後年に父の事業の後継者となるジョン・メイソン・クックが生まれている。

[編集] 禁酒論者の娯楽

彼が禁酒運動の集会に向かうためレターシャー州キブワース（Kibworth）のロンドン通りで駅馬車を待っている間、禁酒論者を対象に団体旅行を提供するというアイデアが彼の脳裏に浮かんだ。彼は1839年にレスターまで延長されたミッドランド・カウンティーズ鉄道にレスターから11マイル離れたラフバラーまで570名の禁酒論者が日帰り旅行できるようかけあった。1841年7月5日、クックは鉄道会社が臨時列車を出し、乗客が往復運賃と食事込みで一人1シリングの請求で日帰り旅行できるよう手配した。