ドイツ民法
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実質的な意味においてはドイツにおける私法の一般法を指し、形式的な意味においてはドイツ民法典(Bürgerliches Gesetzbuch, BGB)を指す。もっとも、「ドイツ」という概念は歴史上きわめて不明確であるが、歴史を溯るときは通常「ドイツ民族の神聖ローマ帝国(Heiliges Römisches Reich Deutscher Nation)」が念頭に置かれている。
日本民法は、立法及び解釈のうえでドイツ民法に大きな影響を受けている。しかし、物権変動につき無因主義(Abstraktionsprinzip)を採るなどの点で、日本民法と大きく異なるところもある。
近年、債務法改正(Schuldrechtsreform)があった。
目次 |
[編集] ドイツ民法の歴史
- ローマ法の継受(Rezeption)
- パンデクテンの現代的慣用
- バイエルン・マクシミリアン民法典(Codex Maximilianeus Bavaricus Civilis、1756年)
- プロイセン一般ラント法(ALR、1794年)
- フランス・ナポレオン民法典(1804年)
- オーストリア一般民法典(ABGB、1811年)
- サヴィニー・ティボー論争
- 歴史学派
- ドイツ民法典(1900年1月1日施行)
- ドイツ債務法改正(2002年1月1日施行)
[編集] ドイツ民法の法源
[編集] ドイツ民法典(BGB)
ドイツ民法の最も重要な法源は、ドイツ民法典(BGB)である。現在の編別は以下の通り。まず気づくのは、日本民法と異なり、債権法ではなく「債務関係法」と呼んでいること(普通は「債務法(Schuldrecht)」という)、しかも、その債務法が物権法よりも前にあることである。「物権法」と訳しているもの(Sachenrecht)も、逐語的には「物の法」であり、ローマ法の伝統が感じられる概念である。親族法と訳しているものもまた、逐語的には「家族法」であり、日本の講学上の「家族法」概念が親族法と相続法の双方を包含するのとは用法が異なるようである。
- Erstes Buch. 総則(Allgemeiner Teil)
- Zweites Buch. 債務関係法(Recht der Schuldverhältnisse)
- Drittes Buch. 物権法(Sachenrecht)
- Viertes Buch. 親族法(Familienrecht)
- Fünftes Buch. 相続法(Erbrecht)