バカ族
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バカ族、(またはベバヤカ、ベバヤガ、ビバヤ、バビンガとして知られる)はカメルーン南東部の熱帯雨林、コンゴ北部、ガボン北部、中央アフリカ共和国南東部に住むピグミーの民族グループである (バンツー系)。
トワ・ピグミーの下位グループであるとしばしば誤解されるが、両者の間に密接な関係はない。同様にカメルーンの2から9の認められたピグミーの集団に誤用される。平均身長は1.5mであり、正確に言えばピグミーと言うよりもピグモイドである。にもかかわらず、日常的にピグミーの語が使われている。バカ族自身は「ピグミー」の語を軽蔑的とみなし、彼らの部族名を好んでいる。
コンゴ民主共和国とスーダンのバカ族とは関係はない。
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[編集] 文化
[編集] 人口
バカ族の正確な人口は決定し難く、5,000人から28,000人と推定されている。
[編集] 言語
他の殆どのアフリカ中部のピグミー系諸族で独自の言語の残存が確認されておらず、バントゥー語系の周囲の農耕民の言語のみが用いられているのと異なり、バカ族はバカ語と呼ばれる独自の言語を保持し、それはニジェール・コンゴ語族アダマワ・ウバンギ語派に属する。また、多くのバカ族は隣接するバントゥー系の言語Koozimeも第二言語として用いる。少数はフランス語を話す。
[編集] 生活
バカ族は狩猟採集民である。グループは折り曲げた枝に大きな葉を被せた小屋(しかし今日次第にバンツー族の方式の家になりつつある)で一時的なキャンプを行なう。男達は周辺の森で、毒矢や毒槍を用いた狩をし、獲物を罠で捉える。一方女達は果物や木の実を集めるか、子供の世話をしていれば養蜂を行なう。グループは狩が成功するまで一つの場所に留まり、その後そのキャンプを捨てて森の別の場所へ移る。原始共産制で、意見の一致により物事を決定する。
[編集] 信仰
バカ族はアニミズムを行ない、祖霊にして守護者とされるジェンギという森の聖霊を信仰している。 狩が成功した後にルマという太鼓と合唱を伴なった感謝の踊りが行なわれる。他の伝統行事には男子の成人の儀式ジェンギ(前述の聖霊とは異なる)がある。バカ族には独自の伝統医学があり、部族以外の者でもピグミーの治療者を探す程である。
[編集] 関係
バカ族は隣接して住むバンツー族と共生関係にあり、交易を行なうためによく道沿いにキャンプを構え、物々交換を行なう。バカ族は通貨経済に大部分がまだ慣れていないため、他の部族によるバカ族の搾取は重大な現実である。時に他の部族がバカ・ピグミーを労働者として雇うが、実際一日分の給料が支払われないことがある。また、観光を意識して、多くのバカ族以外の人間がピグミーの村を訪れたり、留まったりする手筈を整え、自然保護林を訪れる人へバカ族のガイドを雇うが、しばしばバカ・ピグミーへの報酬は僅かである。バカ族とバンツー族の部族間結婚の率は上昇している。バカ族は他の民族と日常的に結婚し、他民族の配偶者のライフスタイルを採り入れるため、何人かの学者はいつかバカ・ピグミーが他の民族と完全に同化してしまうだろうと予測している。
バカ族はカメルーンや周辺の国々で最も古くからの住民の一つである。半ば放浪生活を行なう彼らの生活様式は植民地主義のさなか、彼らの象狩りの能力に眼をつけた象牙に飢えたドイツ・フランスの領主が彼らを利用しやすいよう道沿いの村に住まわせた事実にもかかわらず、何千年もの間変わらなかった。カメルーンの政府は報奨金と全ての子供への学校教育の義務を通してこの方針を保持しようとした。しかしバカ族の大部分は従っていない。今日彼らの生活への最大の脅威は森林伐採であり、森が消えれば、バカ族の依存する動物と植物も同様に消える。
[編集] 参考文献
- Fanso, V.G. (1989) Cameroon History for Secondary Schools and Colleges, Vol. 1: From Prehistoric Times to the Nineteenth Century. Hong Kong: Macmillan Education Ltd.
- Neba, Aaron, Ph.D. (1999) Modern Geography of the Republic of Cameroon, 3rd ed. Bamenda: Neba Publishers.
[編集] 関連項目
- w:Demographics of Cameroon(カメルーンの人口統計)
- w:Pygmy music(ピグミー音楽)
[編集] 外部リンク
- Baka Pygmies of Cameroon by Mauro Campagnoli
- Baka Pygmies vocal polyphony by Vincent Kenis