バンドネオン
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バンドネオン(bandoneon)は、主にタンゴで用いられる楽器。アコーディオンに形が似ているが(同じ蛇腹楽器)、鍵盤は、ピアノのような形ではなく、ボタン型で、これが蛇腹を挟んで両側についている。アコーディオンが1820年代に発明され、改良して作られたアコーディオンの一種であるコンツェルティーナ(コンサーティーナ)の影響を受けて、1840年代、ドイツのハインリヒ・バンドが考案した。後にアルゼンチンで広まり、タンゴでよく用いられる楽器となった。
基本的なバンドネオン(ダイアトニック型)は、蛇腹を押すときと引くときで別の音が出る、音階配置がほぼ不規則といった独特の構造を持つ。これは発展途上で不足した音階を建て増しした歴史に理由があるようだ。中央のボタンは、隣同士の特定のボタンを同時に押すと、(アコーディオンの左手と同じように)和音が鳴るようになっている。これらのボタンを同時に押して、蛇腹を引き、そのままの指で蛇腹を押すと、同じ調のV7(ソ・シ・レ・ファ)−I(ド・ミ・ソ)の関係になるようになっている。
のちにヨーロッパのアコーディオン奏者の要請に応えて構造を整理したクロマチック型バンドネオンも作られたが、アルゼンチンタンゴでは主にダイアトニック型が使用される。タンゴの独特の音楽性は複雑な構造を持つバンドネオンの運指、吸気リズムを自然に活かした演奏技術との相互発展の産物であり、単純な合理性で再解釈できるものではない。
蛇腹を引いたときの方が、音が響く。蛇腹によく共鳴するためだと言われる。従って、バンドネオン奏者は蛇腹を引く音を多用し、蛇腹を引いて演奏しては空気抜きボタンを押しながら蛇腹を戻す、ということを繰り返すことが多い。特に、タンゴの鋭いスタッカートは、膝を使いながら蛇腹を瞬時に引くことによって出される。
奏者としてアストル・ピアソラ、ネストル・マルコーニ、三浦一馬、啼鵬、小松亮太などが有名。
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