ブロッケン現象
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ブロッケン現象(ぶろっけんげんしょう)(phenomenon of brocken spectre,glory,光輪)は太陽などの光が背後からさしこみ、影の側にある雲や霧に光が散乱され、見る人の影の周りに、虹と似た光の輪となって現われる現象。山岳の気象現象として有名で、尾根の日陰側かつ風上側の急勾配の谷で山肌に沿って雲 (霧) がゆっくり這い上がり、稜線で日光にあたって消える場合によく観察される。航空機から見下ろす雲や、平地でも川霧等に現われることがある。
- 虹に比べて、見かけの大きさは10分の1程度と小さく、光の輪は何重にもなる場合がある。また、見る人の影が十分小さければ、中心点にも輝点が見られる。内側は青色で、外側は赤色。
- 名前の由来となるドイツのブロッケン山は、ハルツ山脈の最高峰(1,142m)である。
- ブロッケンの妖怪(または怪物)とも呼ばれるが、日本では御来迎 (ごらいごう)とも呼ばれる。これは、古くは阿弥陀如来が姿を現したと考えられていたためである。槍ヶ岳開山を果たした僧播隆の前に出現した話が有名。
- 水滴が起こすミー散乱の後方散乱が、光の色(波長)によって異なる角度依存性を持つ事に起因する。ミー散乱を起こす粒子は非常に小さい。(虹は雨粒による屈折と内部反射によるものである。)
- ブロッケン現象は、霧の中に伸びた影と、周りにできる虹色の輪(ブロッケンの虹)の二現象をまとめて指している。
- 自分自身が太陽の光を遮っているため、自分自身の形に影が見えることになる。影は自分自身からあまり離れていない霧に映っているが、霧の中では影までの距離感がつかめないため、遠くにある巨大な人影のように感じられる事がある。