ブロンド
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ブロンド(blond)は、人類学の用語で「色素脱落」を言う。一般には金髪もしくは金髪の人(特に女性)を指すが、人類学や人種分類学では毛髪・虹彩・皮膚のメラニン色素が非常に少ない形質を意味する。
人類の大部分は、毛髪や虹彩に大量のメラニンを含み、従って毛髪は黒色又は黒褐色、虹彩は濃褐色を示し、皮膚もメラニンの量や性質の違いによって非常に黒い色(主に黒色人種)や褐色、明るい褐色(主に黄色人種)を呈するが、白色人種の中でも北欧に分布する北方人種や東欧の東ヨーロッパ人種と呼ばれる人々はメラニン色素が極めて少なく、毛髪は金髪になり、虹彩は青・緑・灰色となり、皮膚も、皮下の血液が透けて見えるため薄桃色に見える。こうした、メラニン色素が脱落した形質をブロンドと呼ぶ。
ブロンドが、いつ、なぜ生じたかについてははっきりしていない。北方人種の分布の中心である北欧は緯度が高いため太陽光が弱く、また曇雨天や霧なども多く、更に日光が乏しくなるので、後期旧石器時代に移住して来た白色人種の集団がそうした自然環境へ適応した結果だとする説があるが、北方人種が先史時代から北欧にいたという確証も無いので断定はできない。ただ、彼らが北欧の自然環境によく適応している事は確かである。