ホットサイクル式ローター
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ホットサイクル式ローターは、ヘリコプターや、ティルトローター方式の機体におけるローターの回転方式。従来のピストンエンジン又はターボシャフトエンジンからの動力をトランスミッションを介してローターに伝えるのではなく、各種のガスタービンエンジン等からの抽気そのもの又は、外気と混合してある程度温度を下げた抽気又は排気を、耐熱・耐圧チューブなどでローター先端に導き、そこから噴射してローターを回転させる。
回転翼機特有の問題である、トランスミッションなど、複雑な伝達機構による故障頻度、整備性の低下や、トルクの減殺(ローター軸廻りの摩擦があるので、完全に無くなるわけではない)により、テイルローターの安全性の問題から開放されるという長所がある反面、高圧・高温空気にさらされる機体又はローター内部配管の腐食や高圧による破損等の問題がつきまとい、50年代からいくつかの機体の試作が行われたものの、西暦2006年現在、実用機は皆無である。
ホットサイクル(参考)
なお、類似の形式として、チップジェットと呼ばれる駆動方式も存在した。
これは、ローターの翼端にラムジェットなどの推進装置を取り付けて、ローターを回転させることで、反トルクを生じさせないようにするものであるが、ラムジェット特有の安定稼動能力の不足や、燃料供給・消費上の問題による低い航続力など、様々な技術上の問題も抱えており、ガスタービンエンジンの一般化によって姿を消した。