ポジショニング

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ポジショニング (positioning) とは、英語で位置付けの意。スポーツの攻防において、または楽器演奏の際の運指の仕方などに言われる。

格闘技におけるポジショニングは、寝技の攻防における選手同士の位置関係を各種のポジションとして類型化し、攻防の展開をあるポジションから別のポジションへの遷移として捉える考え方、またその技術をいう。これにより、攻防の中で選手が置かれている状況を速やかに、かつ的確に把握することができ、状況を自覚的にコントロールすることが容易になる。

[編集] 技術

例えば、上になっている選手の胴体が下になっている選手の脚の間にあるポジションをガードポジションという。この状態からは、上の選手は有効な技を掛けることがほとんど不可能である。そのため、上の選手は別のポジションに移らなければならないし、下の選手はそれを阻止しなければならない。このように、ポジションという言葉で状況を把握することにより、選手は、自分がとるべき行動を瞬時に判断できるのである。

[編集] 歴史

寝技を含む格闘技、武術、武道であれば、ポジショニングに類する技術を、多かれ少なかれ持っているはずである。中でも、それを高度に洗練させ体系化したのが、ブラジリアン柔術であった。

1993年、ブラジリアン柔術の一流派であるグレイシー柔術の選手ホイス・グレイシーが、第1回UFCで参加選手中最軽量だったにも関わらず優勝し、一躍ブラジリアン柔術が脚光を浴びた。それ以来、グレイシー一族を初めとする多くのブラジリアン柔術家が、さまざまな格闘技大会に出場するようになり、優秀な成績を収めることになった。

そのため、多くの格闘家たちがブラジリアン柔術を研究するようになり、ポジショニングの概念が広まっていった。現在、さまざまな格闘技に取り入れられているポジショニングの概念は、ブラジリアン柔術から1993年以降に導入されたものがほとんどである。ポジショニング技術の習得が寝技の競技力向上に大きく寄与することは、現在広く認められている。

[編集] 主なポジション

[編集] マウントポジション

上の選手が、下の選手の胴体に馬乗りになっている状態を指す。選手同士は向かい合っている。上の選手が圧倒的に有利なポジションである。

バックマウントポジション（上）

[編集] バックマウントポジション

相手の背中にくっつき、両脚を相手の腰にからませた状態。背後の選手が圧倒的に有利なポジションである。

[編集] サイドポジション

上の選手が、下の選手の胴体を横から抑え込んでいる状態を指す。柔道でいう横四方固、袈裟固の体勢である。マウントポジションほどではないが、上の選手が有利なポジションであり、さまざまな技を掛けることができる。マウントポジション以上に攻撃のバリエーションに富むため、選手によっては敢えてマウントを取らずにこの体勢から攻撃を仕掛ける。

[編集] ガードポジション

仰向けの下の選手と向かい合った上の選手との間を下の選手が脚で隔てていたり両脚で上の選手の胴や脚を絡めてる状態の時、下の選手のポジションをガードポジションという。上の選手は有効な技を掛けることがほとんど不可能であるのに対し、ガードポジションを取っている下の選手からは、様々な関節技・絞め技を極めるチャンスがある。また、ガードポジションから相手をひっくり返し、上下を入れ替えることを『スイープ』または『リバーサル』と呼ぶ。

ガードポジションには様々な種類があり、クロスガード・スパイダーガード・デラヒーバガード・ラバーガード・スパイラルガード、ハーフガードなど多種多様である。またハーフガード（ポジション）を除くガードポジションを「フルガードポジション」という。

このポジションにとどまるための技法およびこのポジションからのスイープが、ポジショニング技術のかなりの部分を占める。