ミニマル・ペア
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ミニマル・ペア、もしくは最小対語(さいしょうついご)、最小対(さいしょうつい)、最小対立(さいしょうたいりつ)とは、ある言語において、語の意味を弁別する最小の単位である音素の範囲を認定するために用いられる1点のみ言語形式の違う二つの単語のことをいう。
例えば、「カラス」(/kaɾasɯ/)と「ガラス」(/gaɾasɯ/)は[k]と[g]の一点のみが異なっており、日本語話者はこの音の違いによって意味を区別する。このとき[k]と[g]は弁別的対立をなしているといい、日本語には/k/と/g/という音素があることが分かる。そして、カラスとガラスのような二つの単語をミニマル・ペアという。一方朝鮮語話者や中国語話者はカラスとガラスの違いによって意味を区別せず、同じ音として認定する。このため朝鮮語や中国語で[k][g]は弁別的対立をなしておらず、音素として/k//g/は措定されない。また英語の「right」「light」のようなミニマル・ペアにおいても日本語話者をこれを違う音として区別せず、「right」と「light」は日本語ではミニマル・ペアにならないことがわかる。
他言語語教育では、目標言語のミニマル・ペアを使って、音の違いに集中させる発音教育をおこなっており、これをミニマル・ペア練習と呼んでいる。