メッシュ
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「メッシュ」は、萩尾望都の漫画。漫画雑誌『プチフラワー』1980年夏の号から1984年6月号に連載された。
パリを舞台に、母親に捨てられ、父親に憎まれている少年・メッシュの彷徨と成長を描いた連作短編。思春期の不安定な心を描いた心理ドラマとして評価が高い。またラストシーンの美しさは随一で、明瞭な答えは示さない印象的な結末が多い萩尾望都作品でもベストに挙げる声が高い。
父親と絆を取り戻すも結局捨てられる少年の物語「訪問者」(『プチフラワー』1980年春の号)に続く作品で、父親にアンビバレントな感情を抱く少年を描く。主人公は男性なのに女性の名を持ち、女装を楽しみ、同性愛者に言い寄られるなど、性同一性の混乱・曖昧な性という主題が全編通して存在し、後年の「マージナル」「残酷な神が支配する」を予感させる。萩尾望都作品では初めてベッドシーンが描かれ、キスシーンも多い。
初期の細かい挿話を積み重ねるように描く構成から、旧来の漫画に見られるような平明な構成に変化しており、萩尾望都の転換期の作品。シリアスな話の中にユーモアを織り交ぜた軽快なテンポには、1980年代の風俗の影響も指摘されている。同時に画風も、手塚治虫の影響を受けた柔らかなものから、硬質でリアルな筆致に変化している。
2005年には劇団Studio Lifeにより初舞台化され、原作ファンをはじめ 多くの観客を魅了することに成功している。
[編集] 作品
- メッシュ(『プチフラワー』1980年夏の号)
- ルージュ(『プチフラワー』1980年秋の号)
- 春の骨(『プチフラワー』1981年初夏の号)
- モンマルトル(『プチフラワー』1981年夏の号)
- 革命(『プチフラワー』1981年秋の号)
- ブラン(『プチフラワー』1981年冬の号)
- 耳をかたむけて(『プチフラワー』1982年5月号)
- 千の矢(『プチフラワー』1982年7月号)
- 苦手な人種(『プチフラワー』1982年9月号)
- 謝肉祭(『プチフラワー』1983年3月号)
- シュールな愛のリアルな死(『プチフラワー』1984年6月号)
- 番外編
- Plan de Paris(初出誌?『春の骨 メッシュ2』小学館、1982年1月)
- Movement I(初出誌?『革命 Revolution メッシュ3』小学館、1982年8月)
- Movement II(『プチフラワー』1983年5月号)
- Movement III(初出誌?『謝肉祭 メッシュ6』小学館、1983年11月)
[編集] 登場人物
- フランソワーズ・マリー・アロワージュ・ホルヘス(メッシュ)
17歳。金髪だが両脇だけ白銀の髪をもつ。母親に女名をつけられたためメッシュと名乗っている。感情が不安定。2歳の時に母親が駆け落ちすると、実子かどうか疑った父親によってスイスの寄宿学校に入れられる。のちに父親は実子だと認めたが、メッシュを放っておいた過ちを母親に転嫁したため、父親を憎悪するように。14歳の時から家出している。
- ミロン・ファレル
贋作画家。メッシュを拾い、受け止める。周囲の人に疎まれていた過去があるが克服している。
- ルイ・シラノ
ミロンのアパートに住んでいる医者。
- ラカン画廊の主人
ミロンのお得意先。
- カティ
ミロンの恋人。
- ドルー
ギャング。ミロンに拾われる前にメッシュが居候していた。
- バン
ドルーのボスでサムソンと組んでいる。ギャング。
- ジャン・サムソン・ホルヘス
メッシュの父。ギャング。メッシュを支配しようとする。
- エーメ・ホルヘス
ホルヘスの後妻でメッシュの義母。メッシュを心配している。
- マルセリーナ・ルビエ(マルシェ)
メッシュの母親。現在は心を病んでいる。