ランフラットタイヤ
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ランフラットタイヤ (Run flat tire) とは、パンクして空気が抜けた後でもそのまま100km程度の距離を走ることができるタイヤのこと。交通量の激しい道路や治安の悪い地域、戦闘中など、危険な場所や状態で、自動車を停車してのタイヤ交換およびパンク修理を回避することができる。2001年、トヨタ・ソアラにオプションで設定された。その後、BMWの新車に標準装備されるなど少しずつではあるが普及が進められている。
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[編集] 概要
自動車は廃車にされると、使われることのないほとんどのスペアタイヤはそのまま廃棄される。廃棄されるスペアタイヤは大きな環境問題となる。ランフラットタイヤの採用で自動車ではスペアタイヤの搭載が不要になり、トランクスペースの拡大、デザイン自由度の向上、車両の軽量化による燃費の向上、それによるCO2削減などといったメリットがある。その一方で、未だ開発途上の技術のため、乗り心地やグリップ等のタイヤ性能の点で若干劣る。また、ランフラットタイヤ自体がやや高価であるとともに、パンク修理ができず、ホイールごと交換が必須である点などのデメリットもある。そのため、走行中のパンクが一生に一度あるかないかのために乗り心地を犠牲にするよりも、乗り心地を優先させたい顧客のために、オプション設定でノーマルタイヤが選べる車種もある。
[編集] 主な種類
- サイドウォール強化タイプ
- タイヤの横部分(サイドウォール)の剛性を強化したタイプで、空気が抜けた後はこの部分でタイヤが潰れないように支える。初期のランフラットタイヤはこのタイプのものであった。
- 中子タイプ
- タイヤ内部に構造を持たせたタイプで、空気が抜けた後はこの構造でタイヤが潰れないように支える。現在、タイヤメーカー各社はこのタイプの研究開発に力を注いでいる。
[編集] システム
ランフラットタイヤではパンクしても運転者は感知できない。このためタイヤパンクセンサと組み合わせ、パンクして空気圧が低下すると警告灯が点灯するシステムを搭載した自動車で使用することができる。このシステムを搭載していない自動車でもランフラットタイヤは装着できるが、あまり勧められない。