リハビリテーション
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リハビリテーション(rehabilitation、リハビリ)とは、障害を持った人が生活していく手段を得るためのアプローチの事を指し、また、アプローチの手段のひとつとしての訓練自体もリハビリテーションと呼ばれる。第二次大戦中に激増した傷病兵に残る身体障害が社会問題化したことからアメリカで始まった。
リハビリテーションの語源はラテン語で「本来あるべき状態への回復。権利の回復、復権。教会からの破門の取り消し。」等の意味合いがある。強いて類義語を挙げれば「ルネサンス(再生)」が最も近い用語である。
リハビリテーションは、社会的リハビリテーションと医学的リハビリテーションに大別される。社会的リハビリテーションにおいては、現代日本では「全人間的復権」という概念である。医学的リハビリテーションにおいては、本来「障害の克服」という概念であったが、WHOによる国際障害分類(IDH)が国際生活機能分類(ICF)へと改訂されてから、「生活機能の改善・向上」という概念へと変化した。
戦傷者を対象として発祥した分野であるが、先進国ではむしろ脳卒中など神経疾患の後遺症、老年痴呆への対策としてリハビリの重要性が増してきている。一方、政情不安定地域ではいまだに地雷被害の後遺症などへのリハビリの必要性がなくならないままである。
- 障害を以下の3つレベルに分け、それぞれについて対策を講じていく。
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[編集] 障害の医療モデル
[編集] Impairment(機能障害)
[編集] Disability(能力障害)
- Impairment(機能障害)の結果として失われている能力。具体例として、歩行障害、コミュニケーション障害ADL(日常生活動作)低下、認知障害など。
- 理学療法、作業療法、言語療法では残された機能を用いて目的を遂行する訓練を行うほか、装具・用具を用いて動作の自立を目指すアプローチも用いる。下肢麻痺の患者が車椅子を用いることで移動能力を補うなど。或は個々の介護。
[編集] Handicap(社会的不利)
- 社会との関係で被っている損害。また、生活を維持する上で考慮されるべき社会的背景。就業困難、要介護、経済的困難、家屋・施設の使用困難など。
[編集] WHOによる障害モデル
WHOが提唱した「国際生活機能分類-国際障害分類改訂版」によると障害は以下のように分類される。
[編集] 機能障害
- 臓器レベルの障害である。心身機能や身体構造の障害で、治療により改善を目指す。 頚髄損傷や四肢麻痺などである。
[編集] 活動制限
- 個体レベルでの障害である。個体が活動する際に生じる障害で、訓練により改善を目指す。歩行障害などである。
[編集] 参加制約
- 社会レベルの障害である。社会的活動に参加しようとする際に生じる障害で、改善には社会環境の整備が必要である。就職困難などである。
[編集] 関連項目
- ノーマライゼーション
- 国際障害分類
- 国際生活機能分類