三振法
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三振法(さんしんほう)とは1990年代にアメリカ合衆国において州法として成立した法律の総称であり、スリーストライクス・アンド・ユー・アー・アウト法(三振でアウト法)を日本語訳したものである。
これまでに軽犯罪(落書き、スピード違反など)以外の犯罪(殺人、暴行、強姦、麻薬、窃盗)で前科が二回あると三回目の再犯がどんな些細な犯罪(万引きなど)でも終身刑を課されるという法制度のことである。過去二十年間犯罪暦の無い所帯持ちの男性が些細な万引き、あるいは大麻の所持などで終身刑を言い渡されるような事例も存在し世論は「(杓子定規的)に厳格すぎる」との反対意見と「犯罪予防のため仕方なし」とする賛成意見に二分されている。
擁護者は三振法は施行すると、犯罪率が下がるとする。日本でも施行を願う声がごく少数ながら存在する。ただしその論を証明する統計結果は存在しない。また凶悪犯罪とは言えない薬物法違反で三振法に引っかかり終身刑になるものが多く、社会に特に脅威に当たらない者を刑務所で莫大な経費を使って養うのは税金の無駄であるとの意見も存在する。また軽犯罪(万引き、大麻所持など)でも終身刑を逃れるために累犯者が殺人も含めた重大な犯罪をさらに犯す可能性も指摘されている。
アメリカでは、刑務所が定員超過状態にあることが多く、このため凶悪犯罪者が短い刑期で仮出獄し、再犯を繰り返すことが多く、三振法は再犯者の仮出獄の可能性を法律で無くすことによりこのような事態を防ぐ目的がある。さらに犯罪多発国であるアメリカでは犯罪解決率が総じて低いため、凶悪犯罪者の多くは常習犯で、特定の犯罪で捕まる以前にも他に明らかになっていない重犯罪を犯している場合が多い。このため累犯者を微罪でも終身刑にすることで重犯罪を未然に防ぐことが出来るとされる。犯罪率が低い国では税金の無駄、さらに罰と罪のバランスを著しく欠く法律として警察・検察側からも批判的な見解を示されるのはこのためである。
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