上場廃止
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上場廃止(じょうじょうはいし)とは公開した株式について、証券取引所が上場継続不適と判断し、投資者保護の目的から株式公開取引を終了すること。上場廃止基準は各証券取引所によって異なるが、大まかな事由として、上場契約違反、法人格消滅(合併を含む)、完全親会社設立(完全子会社化)、会社の倒産(経営破たん)などがある。また、株式公開している企業が公開のメリットが小さくなったと判断し、自主的に株式上場廃止申請を行う場合もある。
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[編集] 上場廃止になった例
東京証券取引所第1部を上場廃止になった例として、西武鉄道株(株式の大量保有およびその比率に関する有価証券報告書への重大な虚偽記載を行ったことによる)などがある。同じく、同取引所第2部市場を上場廃止になった例は、駿河屋株、丸石ホールディングス株(ともに架空増資を行ったことによる)などがある。また新興企業を対象とした東証マザーズ市場の上場廃止例としてライブドアとライブドアマーケティング(現 メディアイノベーション)の例(有価証券報告書の虚偽記載)がある。
[編集] 自主的に上場廃止に踏み切った例
前述の例はいずれも不祥事絡みであるが、不祥事や経営破たん、完全子会社化などではなく、自主的に上場の廃止に踏み切る(非公開化)企業も出現している。
非公開化に移行する場合、市場に流通している自社株式を企業の関係者が買収して、完全に経営権を掌握する必要があり、自社株式を経営陣が買収する場合MBO、従業員が買収する場合EBOと呼ばれる。
上場廃止を目的するメリットとしては次のようなものが考えられる。
- 株主の意向(配当率、経営への介入など)に左右されない長期的な視点での経営ができる
- 情報開示が年一度の有価証券報告書の提示といった、最小限のレベルで済む
- 上場企業に比べて各種監査も簡略化できる
一方デメリットとしては
自主的に上場の廃止に踏み切った例としては、婦人服メーカーの「ワールド」や食品メーカーの「ポッカコーポレーション」、外食業のすかいらーくやレックス・ホールディングス、青汁のキューサイがある。
[編集] 上場廃止にならなかった例
2007年3月期に東京証券取引所は証券大手「日興コーディアルグループ」の不正な会計処理の問題では上場基準に抵触し上場廃止が見込まれたが、「赤字を黒字と偽る粉飾ではない」「組織的・意図的ではない」などを理由として日興の上場維持を決定した。
[編集] 上場廃止が行われる場合
日本では通常、株式の上場廃止が行われる場合、またはその恐れがある場合、当該株式を監理ポストあるいは整理ポストで取引させることになる。 同一市場の上場会社同士の株式交換による完全子会社化・合併が行われる場合は、監理・整理ポスト割当は行われない。
[編集] 監理ポスト
- ある株式が上場廃止基準に抵触する恐れがある場合、その事実を利用者(投資家)に周知させるため、専用の取引用ポストで一般の株式と同じ売買を行う。これの適用期間は株式上場は廃止基準に定められた期間の最終日の翌日(または取引所が必要と認めた期日)から取引所が株式の上場廃止基準に該当するか認定した日までである。
- また、監理ポストを割り当てられた場合に必ず上場廃止になるものではないことに注意を要する。基準抵触の恐れがある事項が解消に至れば監理ポスト割当ては解除される。
[編集] 整理ポスト
- 証券取引所からの上場廃止(売買不可能となる)が決まった場合、その旨を利用者に周知するための専用取引用ポスト。通常上場廃止当該日から1か月間ここで取り引きがなされ、通常の株式の売買はできるが、信用取引を新しく行うことはできない。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- 東京証券取引所1部・2部 上場廃止基準概要
- マザーズ市場 上場廃止基準概要(マザーズ)
- ジャスダック証券取引所 上場廃止基準
- 大阪証券取引所1部・2部 上場廃止基準
- ヘラクレス市場 上場廃止基準
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