主文
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
主文(しゅぶん)とは、裁判(判決および決定)の中で、結論を記載した部分。例えば、「主文 1 被告は、原告に対し、100万円およびこれに対する平成16年1月1日から支払い済みまで年6分の割合による金員を支払え。2 訴訟費用は被告の負担とする。3 この判決は、仮に執行することができる。」などのように、簡潔に記載される。当事者の主張や認定した事実、裁判所の判断は、主文とは別に「理由」や「事実及び理由」などという表題の下に記載される。
[編集] 民事訴訟
民事訴訟の終局判決においては、主文で訴えの却下、請求棄却あるいは請求認容が明らかにされなければならない。さらに、訴訟費用の負担(民事訴訟法67条)、控訴権濫用に対する制裁(民事訴訟法303条2項、及び仮執行宣言(民事訴訟法259条)に関する事項も主文に記載される。
既判力があるのは、主文の部分とされる(民事訴訟法114条1項)が、主文の解釈に必要である場合は、理由の参照が許され得る。既判力類似の効力を、主文を超えて理由にまで拡張しようとする争点効という理論があるが、判例では認められていない(最高裁判決昭和44年6月24日判例時報569号48頁)。
[編集] 刑事訴訟
刑事訴訟の終局判決においては、主文で刑の言渡し、無罪、刑の免除、免訴、公訴棄却あるいは管轄違いが明らかにされなければならない。さらに、刑の執行猶予、保護観察、没収、押収物還付、罰金等の仮納付、訴訟費用の負担などが必要な場合には主文に記載される。
刑事訴訟における既判力は、認定された犯罪事実又は審判の対象となった犯罪事実と公訴事実において同一と考えられる範囲に及ぶのであって、主文のみで決することはできない。