人口重心
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人口重心(じんこうじゅうしん)とは、ある地域について、その地域に住んでいる全ての人が同じ体重を持つと仮定して、その地域を支えることができる点(重心)のこと。
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[編集] 人口重心の計算方法
本来ならば、1人1人の住民の自宅が所在する経度・緯度をもとに、重心を求めるのが望ましいが、これは事実上ほぼ不可能に近いため、通例は、町丁目ごと、または、市区町村ごとの人口データをもとに計算する。
また、地球は球体であるため、本来ならば、三次元上で重心を計算して、それを地表に投影して人口重心とすべきではあるが、これは計算が煩雑になるため、通例は、地上を二次元平面と仮定して重心を求める。
地上を二次元平面と仮定する場合、「緯度が高いほど経度の間隔が短くなる」という性質を考慮すると、一定の精度が確保できる。
総務省国勢調査(2005年)や、米国国勢調査(1960年~)で採用されている計算式は以下の通り。
人口重心の緯度、経度
町丁目ごとの面積の中心点の緯度、経度
- wi 町丁目ごとの人口
なお、精度は劣るが、以下の式で、人口重心の大まかな位置を簡易的に計算することができる。
人口重心の緯度、経度
市区町村の市役所(役場)の緯度、経度
- wi 市区町村ごとの人口
[編集] 参考文献
[編集] 日本の人口重心
日本の人口重心は、国勢調査の結果に基づいて総務省統計局から発表され、市区町村内の全ての人が市区町村役場にいるものと仮定して計算される。 2000年の国勢調査の結果による日本全体の人口重心は岐阜県武儀郡武儀町(現関市)の北西部(北緯35度36分42秒、東経136度58分56秒)にあり、1995年国勢調査での郡上郡美並村(現郡上市)から1390m、東南東に移動した。 日本の人口重心は、調査開始以来一貫して東の方向へ移動している。これは、人口が東京を中心とした東日本へと集中していることを示している。このように、人口重心は人口分布の変化を知る手掛かりとなる。
[編集] 東京都の人口重心
東京都の人口重心は、2005年現在、和田堀公園近くの杉並区大宮二丁目にある。50年前と比べて約2km、西に移動したが、これは戦後、多摩地域の人口が増えたためであると考えられる。
[編集] 東京23区の人口重心
東京23区の人口重心は、2005年現在、新宿区市谷本村町の防衛庁付近にある。この位置は、東京23区の中心点に近い。
[編集] 中央値中心
緯度と経度のそれぞれについて、人口を二等分する線を考える。このとき、緯度線と経度線が交わる位置を、中央値中心(median center)という。日本の中央値中心は、2005年現在、長野県南部の飯田市付近となっている。
[編集] 関連項目
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