人工無脳
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
人工無脳(じんこうむのう)とは、人工知能に対応する用語で、英語圏ではchatterbot、もしくはchatbotと呼ばれる。
ボトムアップ的な人工知能のアプローチでは「人らしさ」に到達するまでの道のりが遠いので、トップダウン的に「人らしさ」のモデルを作りこむことで「人らしさ」を作り出そうとする立場。およびその立場で作られたシステム・モデル・ソフトウェアなどを指す。
[編集] 概要
1966年にジョセフ・ワイゼンバウムがELIZAと呼ばれるchatterbotシステムをアメリカで発表し、これを参考に様々なchatterbotシステムが生まれ、進化を遂げた。この過程で日本にも輸入され、日本語という英語などと比較して特殊な言語を土壌として日本独自の進化を遂げてきた。しかし、当時のソフトウェアやハードウェアで現存するものは少なく、具体的にどのような進化を辿ってきたのかは定かではない。 なお、日本独自の進化をせざるを得なかった日本語の特殊性として最も大きなものに、通常は英語などのように分かち書きされていない(単語同士がスペースで区切られていない)ため、どこまでが単語であるかを判断するのが困難であったという点が挙げられる。現在では形態素解析などの日本語解析の手法を用いることで、英語などの分かち書きを行う言語に近い土俵に立てるようになったと言える。
検索エンジンやエキスパートシステムなど、人らしくはないものの役には立つ「人工知能」に対して「人工無能」と呼ばれたのがこの語の起源であるが、「無能」のネガティブなイメージを嫌われ、2004年現在では「人工無脳」という表記のほうがメジャーである。
有名な人工無脳として、「人工無能うずら」や「ししゃも」、「読兎」、「伺か」がある。SCEの開発したゲームソフトであるどこでもいっしょのキャラクター「トロ」なども人工無脳に類するキャラクターである。