低カリウム血症
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
低カリウム血症(ていかりうむけっしょう)は、血清中のカリウム濃度が低い状態である。
[編集] 原因
カリウムの摂取不足や、細胞内カリウムとの平衡が細胞側へ傾いたり、腎臓からのカリウム排泄が亢進する事によって起こる。
[編集] 代表疾患
- 原発性アルドステロン症
- 鉱質コルチコイドの異常な分泌によって、血清ナトリウム濃度が上昇する代わりに腎臓からのカリウム排泄が亢進する。
- 腎血管性高血圧
- 腎臓の血管に障害が起こって腎血流が低下し、これを体全体の血圧の低下と勘違いした腎臓が血圧を上げるホルモン : レニンを分泌して、鉱質コルチコイドが駆動されて、血清ナトリウム濃度が上昇する代わりに腎臓からのカリウム排泄が亢進する。
- クッシング症候群
- 糖質コルチコイドの鉱質コルチコイド作用によって、血清ナトリウム濃度が上昇する代わりに腎臓からのカリウム排泄が亢進する。
- バーター症候群
- 腎臓でのNa+-K+-2Cl-共輸送体の機能不全によってカリウム排泄が亢進する。
- ギテルマン症候群
- 腎臓の遠位尿細管におけるサイアザイド感受性NaCl共輸送体の遺伝子異常による。
- リドル症候群
- 腎臓でのアミロライド感受性ナトリウムチャンネルの抑制不全によってカリウム排泄が亢進する。
- 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群
- 抗利尿ホルモンの異常な分泌によってカリウムに比べて相対的に水の排泄が弱まり、血清カリウム濃度が低下する。
[編集] K欠乏量
基本的に高カリウム血症とアシドーシス、低カリウム血症とアルカローシスが連動するという経験則がある。数値的なことは言うと、pHが0.1下がると血清カリウムは0.5上がるといわれている。そのためカリウム欠乏量は酸塩基平衡も一緒に考えなければならない。
以下にpHが7.4の場合のカリウム欠乏量は以下のように纏められる。
血清K(mEq/l) | K欠乏量(mEq) |
---|---|
3.5 | 100 |
3 | 200 |
2.5 | 400 |
もしpHが7.3でKが3.5mEq/lであれば、アシドーシスを補正するとKが200mEq不足ということになる。大体電解質の補正は3日くらいで行うということと、カリウムの補正につかうKCl製剤が1A で40mEqということを考慮すると大体一日1Aを輸液に混ぜればよいこととなる。
カテゴリ: 医学関連のスタブ項目 | 代謝内分泌疾患 | 腎泌尿器疾患