保型関数
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数学でいう保型関数(automorphic function)とは、aidi − bici = 1である定数ai,bi,ci,diによる線形分数変換
が無限群をなすとき、その元により不変な有理型の関数をいう。f(z)が保型関数であれば、その定義域において
である。
[編集] モジュラー関数
aidi − bici = 1である整数による線形分数変換の全体からなる群をモジュラー群(modular group)という。モジュラー群はとz' = − 1 / zにより生成される。上半平面において定義され、モジュラー群の元により不変な保型関数をモジュラー関数(modular function)という。条件を緩和し、モジュラー群の元により
となるものを重さkのモジュラー型式(modular form)という。モジュラー関数は重さ0のモジュラー型式である。
[編集] 具体例
- ヤコビのテータ関数
は
とτ' = − 1 / τにより生成される線形分数変換の群の元により不変な保型関数である。
- 楕円ラムダ関数
は
と
により生成される線形分数変換の群の元により不変な保型関数である。
- 楕円モジュラー関数
はモジュラー関数である。
- デデキントのイータ関数
の24乗η24(τ)は重さ12のモジュラー型式である。
- 定数は自明な保型関数であり、モジュラー関数である。