個人旅行
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個人旅行(こじんりょこう)とは、旅行の形態のひとつで、移動に用いる交通機関の切符(航空機の航空券、列車やバスの乗車券、船の乗船券など)や宿泊するホテルなどを自ら決定、手配して旅行することをいう。行程や宿泊地があらかじめ決められているパッケージツアーやフリープランと対極にある。海外個人旅行のことを特にFIT(Foreign Independent TravelまたはFree Individual Travel)という。
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[編集] 特徴
旅行会社と顧客が結ぶ契約上の種別としては、パッケージツアーが「募集型企画旅行」と呼ばれるのに対し、個人旅行は「手配旅行」と呼ばれる。旅行会社があらかじめ交通機関・宿泊施設・食事等のプランを組んで提供する商品が募集型企画旅行であり、旅行者が個人的な希望に沿って旅行会社へ手配を依頼する場合が手配旅行である。旅行会社を通さず、完全に個人で切符や宿を手配する旅行も個人旅行に含まれる。
募集型企画旅行は旅行会社が企画・実施し、旅行会社が責任を負う部分が多いのに対し、手配旅行は旅行会社の保証を期待できない部分が多い。言い換えればパッケージツアーを利用しない個人旅行においては、旅行者本人が自己責任を負う部分が多い。
なお「個人」と称するが、切符や宿などを自分で手配する限り、2人以上での旅行についても用いられる。したがって、文字通り1人で旅行することを指す一人旅とは意味を異にする。
[編集] 利点
旅程に全く制約がなく、好きなときに好きな場所を訪問し、好きな食事を取り、宿も自分の意志で選ぶことができるのが最大の利点である。このため、バックパッカーなどに人気の旅行形態である。
[編集] 欠点
パッケージツアーやフリープランのように団体料金が適用されにくいため、同一行程・同一内容では旅行代金が高くなる傾向にある。しかし、安く割引された航空券や乗車券を使って交通機関を利用したり、パッケージツアーでは利用されないビジネスホテル・カプセルホテル・モーテルなどの低価格の宿泊施設を利用したりすることにより、実際にはパッケージツアーよりも旅行代金を抑えることもできる。
また、パッケージツアーでは個人での訪問が不可能な場所を見学することもあり、個人旅行の場合はそのような場所を訪れることができないという欠点もある。
[編集] 海外個人旅行のインターネット手配
近年はインターネットの発達の影響もあり、旅行会社の窓口を通さずに直接個人が宿などの予約を取る旅行者も多くなった。インターネット予約は利便性・簡易性・商品価格の安さなど利点が多いが、一方では、予約が容易になったがゆえに発生する問題もある。
特に海外旅行における英文ウェブサイトを利用しての予約は、電話と違って英語で会話をする必要がない、日本の旅行代理店を通さないため手数料がかからない、代理店を通す場合も現地代理店のほうが料金が安い、旅行商品(現地発着ツアーなど)の選択肢が広がる、などの理由から人気がある。しかし利用条件や購入に関する説明が英文で書かれていること、また予約後の問い合わせや交渉、トラブル解決などは英語で行わねばならない場合が大多数であるため、予約段階で発生した問題を自力で解決できなくなり、旅行情報の電子掲示板に助けを求める旅行者もしばしば見受けられる。
[編集] 内容の多様化
個人旅行というと従来バックパッカーのイメージが強かったが、近頃では個人旅行するのはバックパッカーだけではない。パッケージツアーやフリープランを利用せずに個人で宿や交通機関の手配をする場合は、個人旅行と言える。個人旅行は必ずしも「バックパック、安宿、若者、節約旅行」だけではなく、「ショルダーバッグ、中級ホテル、女性一人旅、エステ体験」のこともあるし、「スーツケース、素敵なホテルや旅館、中高年、レストランでのディナーとオペラ鑑賞」などの場合もありうる。
また、航空券だけ購入して細かい旅程を決めないのを好む旅行者(バックパッカーに多い)、出発前に大まかに旅程を決めてから行く旅行者、旅程をしっかり組んでから出発する旅行者と、様式も人それぞれである。あらかじめ計画を立てる場合には、全体としては個人旅行であるが旅程の一部分で現地発着ツアーを利用するなど、既存商品を組み合わせて旅行する者もいる。