電話
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電話(でんわ)は、電気通信役務の一種で、電話機で音声を電気信号に変換し、電話回線を通じて離れた場所にいる相手方にこれを伝え、お互いに会話ができるようにした機構および、その手段のことをいう。
現代の電話回線は電話交換機で世界的に相互接続され電話網を形成している。また、技術の進歩に伴い、固定電話間の通話にとどまらず、携帯電話(自動車電話)・衛星電話・などの移動体通信、IP電話などとの相互間通話も可能になっている。インターネットへのダイヤルアップ接続など、コンピュータ間のデータ通信にも応用されるようになり、社会における重要な通信手段の一つとなっている。
初期には企業などの業務の連絡手段としての利用が想定されていたが、普及に伴い個人的な連絡にも使用されるようになった。
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[編集] 電話の歴史
1876年2月14日、午前11時頃アレクサンダー・グラハム・ベル、午後1時頃イライシャ・グレイが申請し、優先権争いがあったと伝えられている。しかしながら、米国特許法では出願申請の日付ではなく発明成立の日付が早いほうに特許が与えられる(先発明主義)ため、それだけがアレクサンダー・グラハム・ベルの特許取得の決め手になった訳ではない(電話の発明(at&t))。
1876年3月7日に米国特許174465号としてグラハム・ベルが取得した。3月10日にマサチューセッツ州ボストンで「Mr.Watson , come here , I want you!(ワトソン君、用事がある、ちょっと来たまえ)」というグラハム・ベルの音声が初めて通じた。
1860年にドイツのフィリップ・ライスによる発明とする説もあるが、これはドイツ語の"Telephon"の誤訳によるもので、彼の発見はベルの発明の先駆的なものとされる。
その後も特許紛争が行われたが、1879年5月、ウェスタン・ユニオンが所有するトーマス・エジソンの炭素式マイクロフォン・グレイの液体抵抗型マイクロフォンの米国特許をベル電話会社(現在のAT&T)に譲渡することで和解が成立した。
- 1876年 - アレクサンダー・グラハム・ベルが電話機を発明。
- 1877年 - アメリカ合衆国から初めての輸出先として、日本に2台の電話機を送る。
- 1878年 - 日本製のベル式の1号電話機完成。
- 1883年 - 工部省電信局長石井忠亮、国営電話事業の必要性を強く訴え、建議書を政府に提出。
- 1890年 - 東京・横浜で電話サービス開始
- 1926年 ~ 1979年 - 自動化(ダイヤル式)への移行
- 1952年 - 日本電信電話公社が設立
- 1969年 - プッシュホン登場
- 1985年 - 電気通信事業の自由化開始
- 1988年 - ISDN方式デジタル電話INSネット64開始
- 2001年 - マイライン開始
[編集] 電話の種類
- 固定電話…家庭やオフィスなど家屋に固定して設置され、月毎に通話料金を支払う有線式電話。
- 単独電話…加入者線を一つの加入者で占有するもの。
- 共同電話…電話交換機の出線を有効活用するため複数の加入者で加入者線を共同利用するもの。
- 公衆電話…街頭などに設置され、硬貨・トークン(電話専用コイン)やプリペイドカード・クレジットカード等で利用可能な電話。
電話ではないが、類似のものとして以下のものがある。
- 伝声管…船舶内などにおいて、金属の管により音声の空気振動を拡散させずに少ない減衰で相手に伝達する。
- 糸電話…玩具のひとつ。音を電気信号に変換せず、膜と糸を媒介として機械的な振動により伝える。紙コップの底に糸を張り、他の紙コップとつなぐことで作ることができる。会話をする時には糸を真っ直ぐ張り、口や耳を紙コップに触れさせて、声の振動がよく伝わるようにする。糸の代わりに針金を使う事で、様々に曲げても振動伝達は可能(但し余り太い物だと当然減衰する)。
[編集] 通話の種類

[編集] 機器
- 電話交換機…電話番号から相手を選び接続し、通話するための交換機。
- 電話回線…電話機・電話交換機を相互接続するインターフェース。
- 電話機…電話番号入力や通話を行うための端末機器。
- ファクシミリ(FAX)…静止画像や文字を送信する機器。
- テレビ電話…音声と同時に動画を送る事ができるようにしたもの。
[編集] 用品・用語
- 電話番号…通信相手を指定するための番号。
- 電話帳…加入者名から電話番号を調べるための本(印刷物)。
- 電話加入権(施設設置負担金)…NTT東・西の固定電話に加入する権利。
- テレホンカード…公衆電話を利用するためのプリペイドカード。
- ホットライン…2か国の首脳が非常の際に直接対話ができるように設置された直通の電話回線。
- コールバック
- 国際コールバック
- ポーリング方式
- アンサー・サプレッション方式
- 国際コールバック
[編集] 資格・要員
- 電気通信主任技術者 : 事業用電気通信設備の工事・維持・管理の監督の資格。
- 電気通信設備工事担任者 : 端末設備の工事の監督の資格。通称“工担者”。
- 交換手:自動交換機が普及する前、相手までの経路を繋いでいた人。現在でも代表番号・大代表番号を持つような大企業・団体では、代表番号にかかってきた電話を内容に応じた担当部署に回す専従者が、主として総務部門などにいる。
[編集] 関連項目
- 電話網-中継電話-直収電話 : 電話の仕組み・種類・相互接続。
- 電気通信役務 : 電話の付加サービス
- 電気通信事業者 : 電気通信事業(電話事業)を行う事業者
- 移動体通信-携帯電話-自動車電話-船舶電話-衛星電話-PHS-DECT
- VoIP-IP電話-インターネット電話-IPセントレックス
- 内線電話-インターホン-指令電話-警察電話-消防電話-鉄道電話-電力保安通信線-NHK-DX
- もしもし
- エドワルト・シュトラウス(作品165に'電話'というポルカがある)
- 伊沢修二・金子堅太郎(日本人として初めて電話を使った)
- 二部料金制
- レミオロメンの楽曲に「電話」という曲がある