全集
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全集(ぜんしゅう)は、ある人物の全著作を集めた書の事。同種または特定の時代の主要著作を集めたものも指す。
[編集] 個人全集
古くは漢籍の「石雲山人詩文全集」などの例がある。近代以降の文学全集では「一葉全集」「紅葉全集」などがあった。本格的な全集として「漱石全集」のように小説、評論から日記、書簡、断簡零墨までを集めたものがある。これはその人物の業績や思想を全て網羅しようとするもので、一つの理想的な形態であろう。「漱石全集」は度々新たな編集が行われており、改訂のたびに新発見資料の収録や本文校訂が行われている。
まだ生存している作家がこれまでの作品をまとめた全集を編む事もある。この場合、全集刊行後に発表された作品は当然、全集から漏れる事になるので、不完全な全集とならざるを得ない。
[編集] その他の全集
古くは「陸軍法令全集」(1889年-1990年)などの用例がある。又、大正時代以降盛んに出版されたもので、「世界文学全集」「日本文学全集」などと称するものがある。これらは代表的な小説家の主要作を収めるものであるが、ページ配分があるため、読みたい作品が掲載されているとは限らない。応接間の飾りになっているものも多い。これらは全集というより叢書というべきである。