内側膝蓋滑膜ひだ障害
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タナ(内側膝蓋滑膜ヒダ)とは膝蓋骨(お皿)と大腿骨の間に介在する滑膜ヒダのことをいう。見かけ上、棚に似ている事からタナと呼ばれてる。
タナは胎生期の滑膜隔壁の遺残したもので、50%程度の人に認められる。大半が膝蓋骨の内側に存在しており、普段は何ら異常をもたらさない。しかし、軽微な外傷(打撲や捻挫など)や膝の酷使によってタナが慢性的に刺激を受けると、タナは肥厚、硬化し、膝蓋骨と大腿骨の間に挟まれて症状を引き起こす。
症状は膝蓋骨内側部痛(お皿の内側の痛み)、引っかかり感、運動時痛である。診察では膝蓋骨内側に硬い組織を触れ、膝の屈伸時に膝蓋骨を内側に圧迫すると、「コック」と引っかかる音が聞き取れる。確定診断には関節鏡が必要だ。関節鏡を使う症例がほとんどではあるが、1%強の人の場合触診でひだを触れることができる。この場合は手術になる場合がほとんどだ。
治療は保存的治療(手術しない方法)が原則。痛みには短期間の非ステロイド系抗炎症剤を処方し、リハビリテーションとして温熱療法、大腿四頭筋のストレッチ、筋力強化訓練を指導する。難治例ではステロイド注射を試みる。しかし、これらの保存的療法にて改善しない症例(膝をよく使う若年齢には多い)では関節鏡視下でのタナ切除術を検討する。関節鏡を用いた手術は、数日で退院はできる。そのあとのリハビリも大切になってくる。リハビリを怠ると、症状が悪化してしまったりするため予後がよいとも断言できない障害である。 原因もはっきりと断言されていないので 内側膝蓋滑膜ひだ症候群とも呼ばれている。あまり認知度は高くない障害であるため、病として考えてない人が多いことも特徴の一つであろう。
おもに多いとされているのが15歳から21歳までの女性である。