副甲状腺
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副甲状腺(ふくこうじょうせん)は上皮小体(じょうひしょうたい)ともいい、甲状腺に隣接してヒトでは2対(他の動物種によっては3-4対)存在する内分泌腺である。第三咽頭嚢由来の外上皮小体および第四咽頭嚢由来の内上皮小体に分けられる。甲状腺との直接的関係はない。副甲状腺ホルモン(上皮小体ホルモン、パラトルモンともいう)を分泌し、カルシウムおよびリン酸の調節を司る。発生学的には魚類の鰓に対応すると考えられている。
[編集] カルシウムの調節
血中カルシウムの濃度の調節は副甲状腺ホルモンPTH、ビタミンD、カルシトニンが関わっている。
- PTH
- PTHの標的臓器は骨と腎臓である。骨においてはPTHは破骨細胞を活性化、骨芽細胞を抑制することにより、骨吸収を促進し、その結果骨からカルシウムとリン酸が血漿に供給される。腎臓においてはPTHは尿細管に作用し、ビタミンDの活性化を促進する。さらにPTHは遠位尿細管に作用してカルシウムの再吸収を促進し、近位尿細管に対する効果によってリン酸の再吸収を抑制する。PTHは血液中のカルシウム濃度によってその分泌が調節される。すなわち、カルシウム濃度の減少はPTHの分泌を促進し、カルシウム濃度の増加はPTHの分泌を抑制する。
- ビタミンD
- ビタミンDの標的臓器は腸管と骨である。ビタミンDは腸管におけるカルシウムの吸収を促進する。また骨においてはPTHと同様に骨吸収を促進する。
- カルシトニン
- 甲状腺に存在する傍濾胞細胞によって産生されるホルモンであり、カルシウムプールから細胞外液へのカルシウムの移動を減少させ、破骨細胞に働き骨吸収を減少させる。カルシトニンの調節はカルシウムが関わり、血中カルシウム濃度が増加すると分泌が増加する。
原則として、
- PTHとビタミンDの両方がなければ血清カルシウムは正常範囲まで上昇しない。
- ビタミンDはPTHの作用が無ければ産出されない。
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