副調整室
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副調整室(ふくちょうせいしつ)は、ビデオの撮影スタジオやラジオスタジオにおける、機器類の制御室。テレビ・ラジオ局では、電波を発信する最終的な制御室を「主調整室」(マスター)と呼ぶが、それの対語として「副調整室」(サブ)と呼ばれる。撮影・収録・録音などの作業における司令部として機能する。
[編集] ビデオスタジオにおける副調整室
ビデオスタジオの副調整室では、撮影場所(撮影スタジオのうち「フロア」と呼ばれる部分)に置かれた複数のカメラからの映像を一括して受け取り、それを切り替えつつ、録画のための仮編集、あるいは生放送のための仕上げ作業を行う。
副調整室には、作品の演出面での責任者であるディレクターや、副調整室における作業の責任者であるテクニカルディレクターが詰める。他に、必要に応じて、音響効果やタイムキーパーなどのスタッフが在室する場合もある。
通例、副調整室からフロアを眺める窓はついているが、あまりその窓が使われることはなく、副調整室はビデオカメラから送られてくる映像を見てフロアの状況を判断する。また、副調整室からフロアへは、インカム(Inter-Communication)と呼ばれるインターホン(のヘッドセット)をつけたフロアディレクターを通じて指示が送られる。スピーカーを使って直接に指示を出すこともできる。
[編集] ラジオにおける副調整室
ラジオなど音声系スタジオの副調整室は、録音場所(録音スタジオにおける「ブース」と呼ばれる部分)にいる出演者からの音声を受け取り、それを切り替えたり調整したりする。また、音楽を送出する機材なども備えられており、タイミングにあわせて送出するといった作業も行われる。
副調整室に詰めるスタッフの役割は、ビデオスタジオの場合とほぼ同じである。ただしビデオほど機材が複雑ではないため、ラジオ系のディレクターはある程度機器操作などの心得もあることが普通で、テクニカル・ディレクターを兼ねる場合もある。
音声系スタジオは、通例、副調整室とブースはガラスで仕切られており、相互に表情を見たり文字を書いて指示を出したりすることができる。音声も、マイクとスピーカーを通して会話することができ、生放送ならば音楽を流している間、録音ものならば録音が中断している間などに、指示を出したり相談をしたりすることができる。