主調整室
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主調整室(しゅちょうせいしつ)は、放送局の通常の放送において番組送出の最終段階にあたる操作を行う場所である。
英語ではmaster control roomと言うことから、マスター室、あるいはマスターと通称する場合が多い(NHKではすべてコントロールルームという名称で統一している)。主調整室はテロ集団による乗っ取りや悪質ないたずらを防ぐために厳重なセキュリティがなされており、何度も扉を通らなければ行けないような所にある場合が多い。そのため、社員でさえ場所が分からない者もいる(施設管理の必要上、ビルメンテナンス担当者には知らされている。また一部の地方局では見学できる所もある)。
以下の説明は地上波テレビ局のマスターについてのものであるが、ラジオ局のものも、映像関係の機能がないことを除き基本的な考え方は同一である。
現在デジタル対応マスターの製造メーカーは、東芝、NEC、パナソニックの3社で、東芝(主にFNN/FNS系列局)とNEC(主にNHKやJNN・ANN・NNN系の主要民放局)のシェアが拮抗している。
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[編集] 構成
[編集] スイッチャー
中心となる設備はマトリックススイッチャー(ルーティングスイッチャー、あるいは単にスイッチャー)と呼ばれる装置である。通常、主調整室には各副調整室や外部回線、VTRや各種バンクシステムなどからの入出力が集められているが、スイッチャーはこれら入出力を集め、各出力ごとに独立して入力を選択できるようにした装置である。各種字幕スーパーの合成機能も備えている。
[編集] 番組自動送出システム
スイッチャーは手動操作することも可能であるが、特に放送出力用の部分は誤操作を避けるため、自動運転とすることが一般的である。自動運転のための制御装置のことを、番組自動送出システム(APS、APC、APM)と呼ぶ。このシステムに、補助的な制御記録装置であるデータサーバ、そして前出のマトリックススイッチャーを加えたものが狭義の主調整室設備となる(デジタル放送設備においては、これに多重化装置などが加わる)。 放送機器メーカーごとに略称が異なる。
[編集] VTR
マスター室にはこのほかに、ビデオテープレコーダ設備やCMバンクシステム、番組バンクシステムといった設備がある。番組自動送出システムはこれらに対する制御も行う。
- デジタル機器
- D1
- D2
- D3
- D5
- D6
- D7
- D9 (Digital-S)
- BETACAM-SX
- Digital BETACAM
- DVCAM
- HDCAM
- HDCAM
- アナログ機器
[編集] CMバンクシステム
[編集] 番組バンクシステム
事前に1日に放送するVTRを番組バンクに貯蓄し放送に備える。放送中は番組自動送出システムにより制御されている。なお、番組バンクシステムからの送出が遅れると、放送事故につながる。
[編集] その他の設備
- 速報装置
- 時計装置
- ビデオファイル(VF,VAF)
- オーディオファイル(AF)
- 多重設備
- フレームシンクロナイザー(ビデオシンクロナイザー,FS,VS)
- SNG
- FPU
- マイクロ回線