労働価値説
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労働価値説(ろうどうかちせつ、labour theory of value)とは、人間の労働が価値を生み、労働が商品の価値を決めるという思想。この思想はカール・マルクスによって完成し、マルクス経済学における中心概念となっているが、樹立されたのは古典派経済学によってであり、体系化したのはアダム・スミス、デヴィッド・リカードなどである。
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[編集] 労働価値説の起源と発展
ウィリアム・ペティにさかのぼる学説もあるが、一番の大成者はスミスであるとされる。彼は投下労働価値説・支配労働価値説の二元論をとり、リカードが前者を、マルサスが後者を継承した。マルクスが大成させたのは前者であり、現在、労働価値説というと通常は投下労働価値説を指す。
[編集] 労働価値説の集大成
マルクス経済学では、商品に投下された労働の価値を見ることによって、貨幣や資本の形態を分析し、労働力にも価値を見ることで、剰余価値の分析を行うことが可能となった。
[編集] 労働価値説の限界
労働価値説については、オイゲン・フォン・ベーム=バヴェルクによるマルクス批判がある(「カール・マルクスとその体系の終結」1896年)。
また、近年の第三次産業の発達により、生産物を生み出さない産業が増えてしまった。例えば、歌手やプロスポーツ選手が価値を生み出すのか。これについて労働価値説は経済学的に適切な答えを出しにくい。
[編集] 関連項目
- 搾取
- 効用価値説