千島湖事件
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千島湖事件(せんとうこじけん)とは、中国浙江省杭州市淳安県にある千島湖の遊覧船において、台湾からの観光客一行24名と遊覧船乗員6名の32名全員が3人の中国人武装強盗に殺害された上に放火された事件である。
当初、地元の政府と公安機関が報道管制をしたうえに、中国側司法当局による事件の事後処理が粗雑であったため、台湾民衆が大きな不満を持った事件である。
[編集] 事件の概略
1994年3月31日、浙江省杭州市淳安県の千島湖で運営されていた“海瑞号”が3人の強盗団によって乗員乗客32名全員を殺害されたうえに、船を放火して逃走した。当日夜には帰航していなければならないにもかかわらず、4月1日の午前になって捜索を開始して、事件の犠牲者をようやく発見した。しかし、現地の公安機関は報道管制をとった。
そのうえ被害者家族に対しても、事件の真相を隠蔽しようとしたため、台湾側から抗議が殺到し、海外の報道機関も様々な憶測を流すこととなった。4月9日には当時の李登輝総統は「中国共産党は馬賊と同等である」と批判し、中国の人民解放軍所属の兵士が起こしたのが真相であるため、事件を隠蔽しようとしているのではないかとの憶測した報道すらあった。
そのため、台湾側は中国本土への観光客は停止したうえに、台湾当局による中国本土への台湾資本の投資審査も停止するなど、そのほかの中台交流も中断することとなった。
4月17日になって浙江省公安機関が被疑者3名を拘束した。中国側の釈明では犯人らは軍服を犯行のために着ただけあると釈明した。犯人3名は裁判ののちに6月19日に死刑が執行されたという。
[編集] 事件の影響
この事件に対する中国当局の対応への不満から、台湾では台湾独立を支持する割合が上昇したという。