南鐐二朱銀
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
南鐐二朱銀(なんりょうにしゅぎん)とは、江戸時代に流通した銀貨の一種で、初期に発行された良質の二朱銀を指す。南鐐とは質の良い銀つまり純銀の意味。
形状は長方形で、表面には「以南鐐八片換小判一両」と明記されている。南鐐とは「良質の銀」という意味で、銀の純度が98パーセントと当時としては極めて高い。
明和9年(1772年)9月に田沼意次の命により創鋳される。寛政の改革時に一旦鋳造禁止されたが、程なく発行が再開された。文政7年(1824年)には改鋳されてほぼ同質の新型の南鐐二朱銀が発行された。
それまでは、西日本で銀貨、東日本で金貨が用いられ、しかも両者の為替レートは日々変動していた。これを改める為に、金貨の通貨単位である2朱に相当する銀貨を発行して、金貨と銀貨の為替レートを固定、事実上の通貨統一を果たそうというのが田沼の狙いだった。
五匁銀が普及しなかった反省から、銀純度を上げる、額面の代わりに「8枚で小判1両に換える」と表記する、取り扱う両替商への優遇措置を行うなどの工夫がされた。その甲斐あってか、秤量銀貨に馴染んでいた西日本に徐々に浸透、丁銀、豆板銀といった秤量銀貨を 少しずつ駆逐していった。