原形質分離
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原形質分離(げんけいしつぶんり)とは、植物の細胞が高張液下で細胞壁と原形質の表面である細胞膜が分離する現象を指す。細胞膜が半透性を持っているため、周囲の液体の浸透圧細胞内よりも高い場合、原形質から水が抜け体積が減少し、細胞本体は収縮する。しかし、細胞壁は変形しにくいため、細胞に合わせて収縮することが無く、結果として細胞本体は細胞壁内で、細胞膜が細胞壁から離れて原形質部分のみが収縮するために起こる。細胞壁がない動物細胞では見られない。
この現象は、植物細胞における細胞膜の存在を示す現象でもある。動物細胞は、細胞膜のみにつつまれているが、植物細胞は細胞壁につつまれている。細胞膜自身は、光学顕微鏡では確認できない。そのため、古くは、植物に於ける細胞壁を植物の細胞膜と呼んだことがある。動物細胞は薄い細胞膜でつつまれ、植物の細胞膜は分厚いと。そして、原形質分離によって、植物の細胞膜(細胞壁)の下に、もう一つ薄い膜があって、それが原形質の表面を覆っているのだと考え、これを原形質膜と呼んだ。現在ではこれが植物の細胞膜であると見直され、動物・植物共に共通にごく薄い細胞膜につつまれているとの判断である。
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