境界性人格障害
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
境界性人格障害(きょうかいせいじんかくしょうがい、Borderline Personality Disorder略してBPD)は、不安定な自己-他者のイメージ、感情・思考の制御の障害、衝動的な自己破壊行為などによって特徴付けられる、思春期あるいは成人早期より生じる精神障害である
なお、DSM-IV-TR日本語版2003年8月新訂版から邦訳が「境界性人格障害」から「境界性パーソナリティ障害」と修正されたが、現在でも「境界性人格障害」と呼ばれることが多い。
目次 |
[編集] 概説
近年患者数が増加しているともいわれ、医療費への影響や自己破壊的な行動による生産性の低下などから経済へ与える影響も大きい。主に精神力動的精神医学からの研究がなされているが、生物学的な研究は未だ少ない。治療法は精神療法を主体とし、薬物療法を併用することが多い。ICD-10では情緒不安定性人格障害,境界型と呼ばれている。
この言葉は神経症の症状と精神病(特に統合失調症)の症状の境界の症状という意味であった。しかし近年ではうつ病などの気分障害(感情障害)との関連も疑われている。しかし、Koenigsbergらが1999年に発表した論文によると、他の人格障害に比べると境界性人格障害と気分障害(感情障害)の関連は特別なものではないとされている。
疫学調査では、人口の1~2%程度に存在すると言われている。気分障害(感情障害)や物質関連障害などを合併することも多い。また抱えている不安感を解決させるために、自我の内部で自己の評価を上げることもあるため、自己愛性人格障害とセットで扱われる事も多い。また、対人関係の不安定さを回避しようと、引きこもりのような状態になることもあるため、回避性人格障害(不安性人格障害)と診断されてしまうことも多い。経過の途中で自殺に至る例も珍しくない。
[編集] 診断基準
DSM-IV-TRの診断基準では、以下9項目のうち5つ以上を満たすこととなっている。
- 見捨てられ不安
- 理想化とこき下ろしに特徴づけられる不安定な対人関係
- 同一性の障害
- 衝動性
- 自殺企図
- 感情不安定
- 慢性的な空虚感
- 怒りの制御の困難
- 一過性の妄想様観念/解離
[編集] 原因
かつては、3歳頃までの矛盾した愛着関係が原因となると言われてきた。しかし現在は、境界性人格障害の原因としては「幼少期のトラウマ体験」か「生理学的な脳の脆弱性」の二つの原因が重視されている。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
カテゴリ: 精神疾患 | 医学関連のスタブ項目