大山 (愛知県)
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大山(おおやま)は、愛知県の渥美半島南西部にある山。ふもとの集落の名をとって越戸の大山(おっとのおおやま)とも。標高327.9メートル。田原市(旧赤羽根町と旧渥美町の境界)に位置し、三河湾国定公園の一部である。
渥美半島で最も高い山である。渥美半島は赤石山系の延長上に存在し、北東から南西にかけて標高は低いながらも山が続いている。大山はその終端近くに存在する。
山の直下はわずかな幅を隔てて太平洋で、山頂からは海が一望できる。天気がよければ北側も見られるが、低いながらも山が連なっているのがわかる。大山から三河湾側に見える山は、旧渥美町にある雨乞山である。同じ田原市内の藤尾山・蔵王山等の山々も望むことができる。山の周囲には原生林が広がっている。
登山道は整備されているが、石ころが多い。山頂にはNTTの鉄塔と、自衛隊の無線電信施設がある。
[編集] 無線電信施設と大山
太平洋に面した渥美半島には、明治中期以降多くの軍事施設が設けられた。太平洋を一望できる大山には、無線電信施設が建設された。太平洋戦争末期には空襲を受けている。また、東海地方を空襲する米軍爆撃機が、移動する際に大山を目印にしていたとの話もある。太平洋に面した大山は、南側から来る米軍機にはよく目立ったのだろう。
戦後も大山には無線電信施設が自衛隊の所有と変わりながらも、継続して設置された。昭和30年代、駐在する自衛隊員のためにテレビが設置された。すると、夕方になるとふもとの越戸集落の子供たちが大挙して300メートルもある山を登り、窓越しに施設のテレビを覗き込んでいたという。高度成長期前のほほえましいエピソードである。
2004年10月にこの無線電信施設は電信システムのデジタル化に伴い、撤去された。代わって陸上自衛隊明野航空学校のヘリコプター離発着訓練場とする計画が持ち上がっているが、地域住民の一部の間に自然保護と騒音公害の観点から反対運動が起こっている。