妊娠高血圧症候群
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妊娠高血圧症候群(にんしんこうけつあつしょうこうぐん、英Pregnancy-induced hypertension)とは、主として妊娠後期に見られる高血圧と蛋白尿を主とする一連の疾患群の総称である。
旧来より妊娠中毒症として知られている。
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[編集] 名称
旧来より「妊娠中毒症」と呼ばれてきたが、2005年に日本産科婦人科学会により「妊娠高血圧症候群」 と名称の変更がなされた。
改名の大きな理由としては、病態が明らかにされてきたことがあり、「中毒症」という「原因毒」が存在するわけではないということが大きいとされている。
[編集] 病態
子宮動脈が何らかの要因によって収縮し、それによる昇圧物質が母体に分泌されることで高血圧が生じ一連の症状・所見を呈してくるという学説が広く受け入れられているが、エビデンスに基づいた定説は現段階ではない。
[編集] 定義・分類
日本産科婦人科学会の周産期委員会の定義・分類がある。妊娠32週未満に発症するものを早発型、32週以後に発症するものを遅発型という。
[編集] 臨床像
本症の病態の基本は血管の攣縮である。血管の攣縮によって腎血流が低下すれば、高血圧、蛋白尿、浮腫をおこし、脳血管が攣縮すれば子癇を起こし、肝血管が攣縮すればHELLP症候群を生ずる。胎盤血流が低下すれば、IUGRや胎児ジストレスを起こすこととなる。
[編集] 治療
絶対安静をとる。
発症予防のために食事療法を行う。
多くの降圧薬が妊婦では使えないため、α-メチルドーパや塩酸ヒドララジン等の内服ないし点滴静注による降圧療法が主となる。
[編集] 関連
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